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経路

 東京広尾の高級マンション。砂岡の自宅にて、砂岡は東京の夕景を見下ろしていた。テレビは日本の国産ロケットN-IIロケットの実況中継が流れている。

 砂岡はソファーに座り寛ぎながら言った。

「不満そうだな」

「そうでもありません。理屈は分かりますので、だから大臣は砂の輸入には直接関わらない。乾(建設)大臣に任せられる」

「ああ、そうだ。党内の事情もあるが、どの道、砂がないのだ。どこから輸入せねばなるまい。だが北朝鮮は危険な国だ。そんなのには関わらない。乾の狸にやらせればいい。あの狸はダボハゼだ。よろこんで食らいつく。総理も了承している」


砂の経路は以下の通りである。

1.北朝鮮と中国から砂を韓国に運ぶ。

2.韓国にある労農党のペーパーカンパニーの所有とする。

3.ペーパーカンパニーが書類上で北朝鮮産と中国産を混ぜる。

4.書類上韓国産にして日本に再輸出する。

5.複数以上の日本企業が購入して、日本国内で捌く。

 日本側の企業は乾に関係する企業が携わり、その利権は乾のものとなる。砂岡はこの利権の一切合切を乾に与えた。これは北朝鮮関連で問題が発生したとき責任を乾に全て押し付けるためであった。


 大阪湾国際空港の埋め立てで用いる砂については、丸井商事が国産砂と乾の関連企業(北朝鮮産)の砂を書類上混ぜて建設現場に納入する。こうして完全に追跡ができない訳ではないが簡単にはできないようにした。

 そして北朝鮮で問題が発生しても乾と労農党で止めるようにした。大阪湾国際空港株式会社と砂岡は知らぬ存ぜぬである。

 砂利権を労農党と乾に与えるには単に彼らを儲けさせるだけではなかった。乾は党内地方派有力者の一人である。地方派の分裂を抑えるため利権で繋ぎ止めようとした。労農党ついては自政会を国会追求できないようにするためである。一緒に利権にありついている立場上、厳しい追及ができなくなる。

 

 砂岡は役人にも話を付けていた。大蔵省は北朝鮮産の砂によって、今後地方に建設される公共事業費を抑えることができるということで、消極的に賛成となった。検察と警察そして通産省はとりえず韓国産ということになっているので問題なしとした。もちろん見返りとして彼らには天下り先を用意してのことである。


「ただ巡視船に火炎瓶を投げつけた奴が不問になるもの気持ち悪い話ですな」

と石山が不満を口にした。

「まあ、いいだろう。あれで人が死んだ訳でもあるまい。不問とする代わりにノーパンパチンコの件は国会で追及しないことなった。後、日鉄分割民営化も激しい反対運動は展開しないとなった。それにしても、あのノーパンパチンコは何だ。流石にあれはやりすぎだろ」

砂岡は不敵な笑みを浮かべた。


「それより、そろそろロケットの打ち上げだ。一緒に見ようではないか」

砂岡はそういうとテレビ画面に視線を向けた。石山も一緒にテレビ画面を見て、ロケットの打ち上げを観る。

 放送衛星「ゆり2号a」を搭載したN-IIロケットが打ち上ろうとしていた。テレビからはカウントダウンが流れる。

「・・・5,4,3,2,1,0」

0となった瞬間、ロケットは激しい炎を噴出させ打ち上がった。テレビ画面にはロケットが飛行する様子を映し出していた。

「おお、上がったな。ところで石山君。今度は衛星をやってみないか」

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