スカイ物語
1980(昭和55)年、日本のGDPが300兆円を突破した。日本開闢以来一般庶民が豊かさを実感できるようになった時期である。そして一般庶民でも海外旅行が夢や幻でなく現実的なものになりつつあった。また従前より貿易を通じて、ビジネスで海外に行く人が増えていたこともあり、海外が遠い世界でなくなっていた。
海外への関心が強くなりつつあった世相を反映してか、CCCのテレビ番組は高視聴率を稼ぐようになっていた。そうした状況の1983(昭和58)年に製作放映されたのがテレビドラマ「スカイ物語」であった。
原作は浅沼恭介著の小説「スカイ物語」で、大和航空に勤めていたが浅沼が新人スチュワーデスの成長を描いたものである。尤もテレビドラマ化する際に、話を衝撃的な内容に脚色し、更に現場で台本が変更されるなど度々あったから、原作と別物といっていい状態となった。
当時、人気上昇中のアイドルであった森えみこが主役を演じ、周囲を人気若手の俳優を配置、更に大御所と呼ばれる役者で脇を固めた。当時において、非常に豪華な陣営である。それだけにCCCが当番組に力を入れていたことが伺えた。
CCCの熱の入れようは相当なもので、大和航空と直接交渉し全面的な協力を得られる。むしろ大和航空がCCC以上に力を入れていたくらいであった。
大和航空の本物の訓練所や客室モックアップがドラマで使用され、現役の教官が監修だけでなく出演もするなど、リアルな環境が再現される。そして実機であるB-747なども撮影に使用された。
また海外ロケということで、フランス・イタリアも盛り込まれており、これについては各国の政府観光局の協力を得て行われた。
当時のテレビドラマで最大の予算と大陣営で臨み、大成功を収める結果となった。全23回の平均視聴率が約20%、最高視聴率は28,6%と記録した。番組内での使われた台詞が流行語になったりした。そして主役を演じた森えみこをスターダムに押し上げた。
また大和航空を始めとする航空各社も恩恵を受ける。飛行機の利用者が増えたり、スチュワーデスの応募数が飛躍的に伸びたりした。
こうしてCCCの設立目的であった関東国際空港のイメージアップは、直接的ではないが航空業界のイメージアップを通して達成することが出来た。
このテレビを通してのイメージアップ作戦には、もう一つ裏の目的があったと石山は証言する。
「CCCは確かに空港のイメージアップのために活動をしていたが、もう一つは左寄りのマスコミが関東国際空港に批判的な態度を取らせないようにするための装置であった。関東国際空港建設で多くのマスコミが反対派に肩を持つ報道をしていた。これでは空港のイメージが良くなる訳がない。そこでテレビ局を空港関連で儲けさせることで、テレビ局とその親会社の新聞社を反対派から賛成派に鞍替えさせるための装置であった。その効果はあって、次第にマスコミによる関東国際空港の批判は鳴りを潜めていった」
つまり、事実上の国策会社となっていたCCCは、テレビ番組の製作放映を通じてマスコミを買収したのであった。




