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閣議決定

 1982(昭和57)年4月、神戸市は嘗ての空港反対決議を撤回する決議を日本労農党除く全ての会派全員賛成で可決した。これで神戸市は新空港の誘致活動を公に行うことになった。

 これに対して、大阪泉州の各自治体は翌月同年5月に新空港誘致決議とより踏み込んだ内容が可決された。(日本労農党除く全ての議員)これは鶴田の裏工作が功を奏してのことである。


 この状況下で1982(昭和57)年7月、運輸省が設置した空港選定委員会で大阪泉州沖が適当であると発表した。客観的に見せるため数多く評価要素を列挙し、それらを点数化する形で選考された結果だった。評価要素を数多くした理由は、多ければ多いほど、客観的であると錯覚させることができるからであった。

 結果は砂岡の思惑通りに大阪泉州沖となった。元々、そのように誘導していたのだから、当然と言えば当然の結果であった。


神戸案が落選した主な理由を上げると以下のようになる。


・神戸沖に4.000m滑走路をオープンパラレル(滑走路間隔が1、310m以上)の空港を建設するとなると、広大な人工島となる。それは神戸港だけでなく大阪港への航路に干渉して、船舶の運航に支障を来す。


・六甲山麓から吹き降ろされる「六甲颪ろっこうおろし」が航空機の運航に支障を来す可能性がある。


・近傍に標高931mの六甲山があり、横風滑走路での運用に支障がある。また飛行ルートによっては人口密集地を飛ぶため、騒音問題を引き起こす可能性がある。


これに対し、神戸市と建設大臣乾は異議を申し立てるも、結局引き下がることになった。これらの理由をひっくり返すことができなかったからである。

こうして同年8月には閣議決定され、新空港建設が正式に行われる運びとなった。


発表された空港計画案は以下の通りである。


・仮称:大阪湾国際空港


・建設予定地:大阪泉州沖5,000m水域


・敷地面積:1,680ヘクタール(約508万坪)


・滑走路:3本(内訳:メイン4,000m滑走路×2本、横風用4,000m滑走路×1本 メインの滑走路の間隔は2,200mのオープンパラレル)


 工期は3期に分けられ、1期ごとに滑走路が1本を建設する。着工は1986(昭和61)年とし、第一期分が1993年に開港する予定であった。

 関東国際空港と比べると敷地面積は3分の1弱で、滑走路本数は3本程度と小さい。ただ関東国際空港と異なり騒音問題がない海上であるため、本格的な24時間運用が容易にできる。


 空港へのアクセスは沿岸からが架けられることになる。車道と鉄道の併用連絡橋で鉄道部分に山海電鉄和歌山線と日鉄阪和線が乗り入れることになった。

 当空港の鉄道アクセスについて、協力会社である山海電鉄の独占としなかったのは、幾つかの理由がある。


・連絡橋の使用料金を山海電鉄だけでは支払えない。


・大阪府の意向として大阪南部の振興のため、日鉄阪和線沿線からも容易にアクセスできるようにしたかった。


・大阪都心から見て、大阪泉州地域は神戸よりも利便性が低い。この利便性の悪さから再び神戸案が復活する可能性があった。そこで少しでも利便性を上げることで、神戸案の復活を抑えようとした。


・和歌山市以南からのアクセスを確保する。


 山海電鉄は些かの不満を持っていた。ストライキに明け暮れていた日鉄と違い空港建設を水面下で協力しており、鉄道アクセスの独占は当初より求められていた。大体、山海電鉄からすれば空港への鉄道アクセスを独占すれば、連絡橋の使用料くらい払えると思っていた。

 そこで独占に代わるものとして高架複々線化をする補助金以外にも、山海電鉄の梅田への乗り入れの支援を約束することで納得させた。


 こうして建設に向けて水面下に行われていた工作活動から顕在化させて、空港建設に向けて疾走することになる。

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