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爆発

 石山が京葉電鉄を離れるころ、二つの爆発事件が発生した。この二つの爆発事件で常磐新幹線建設に反対していた二人の男が爆死した。結果、日鉄内で噴出していた常磐新幹線中止論が鳴りを潜め、建設が正式に決定された。

 所謂「大宮工場蒸気機関車爆発事件」と「日鉄副総裁宅ガス爆発事件」である。大宮工場蒸気機関車爆発事件で日鉄労組委員長竹崎敏郎が爆死し、「日鉄副総裁宅ガス爆発事件」では、日鉄副総裁山口文雄が爆死した。


 1977(昭和52)年12月12日未明、日鉄大宮工場(現:NR東日本大宮総合車両センター)でD-51蒸気機関車が爆発する。そして爆発跡に死体が発見され、日鉄労組委員長竹崎と同幹部であることが確認された。

警察の捜査で明らかになったことは、竹崎は保存用として保管していた蒸気機関車D-51を動かして、貨物駅反対のデモストレーションを行おうとした。しかし、整備不良と操作の不慣れから蒸気機関車が爆発したというものだった。


 竹崎は労組のトップとして、数々のストライキを決行し続けた男である。日鉄経営陣が経営改善のため行う施策に対して悉く反対した。特に余剰人員が発生する施策について、強硬に反対した。それが日鉄の労働者の利益であり、さらに大量の日鉄労働者は革新勢力の力の源泉であった。

 その反対する施策で最たるものが蒸気機関車廃止と山手線貨物駅廃止を始めとする貨物駅の整理だった。この施策が実行されると、更に余剰人員を生み出すことは明白であった。

 それでも蒸気機関車廃止は煤煙を解消する大義名分には勝てなかった。煤煙で呼吸器障害を患った日鉄職員が多数いたからである。また沿線の公害問題ともなっていた。

 結局、余剰人員を解雇しないという約束を取り付けることで、蒸気機関車廃止に竹崎を始めとする労組幹部は断腸の思いで受け入れた。


 こうして段階的に蒸気機関車が廃止され、1975(昭和50)年で蒸気機関車廃止が完了された。運転士は2名から1名に削減され、更に石炭や給水を行う人員が不必要になった。

 労使協定で当面は配置転換ということで直ぐに解雇とはならなかったが、将来的に解雇されるのは時間の問題であった。

 そこに山手線貨物まで廃止するとなれば、更なる余剰人員が発生する。それは人員整理に繋がることは明白だった。それで組合員の雇用と左翼革新勢力の維持のため労組は激しい反対運動を展開した。


 日鉄官僚はこれに手を焼いた。日鉄官僚は彼らに目を付けられることを恐れていた。労組に目を付けられると日常生活における嫌がらせから暴力沙汰などの被害を受けるからであった。

 するということで、労組に言い訳が出来た。労組も煤煙の問題には反論できなかった。公害問題がクローズアップされたいたことも時期であった。ここで反対をすれば、労組が世間の敵になる。

 しかし貨物駅の整理は違った。貨物駅の整理は公害問題ではないため、世間とは殆ど関係のない話である。労組にすれば遠慮なく反対運動が出来た。

1976(昭和51)年の行われたスト権ストは労組側の敗北で終わったものの、暴力的なものは依然としてあった。


 よって日鉄官僚は自身の身の安全ためにもあって、貨物駅の整理と大新宿駅計画に消極的であった。そして、これらと連動している常磐新幹線も、藤山総裁の解任を以てして中止しようとしていた。

 特に日鉄の最高幹部で常磐新幹線に否定的であったのが日鉄副総裁山口文雄だった。山口は日鉄エリートの中でも特にプライドが高い人物だった。

 元日鉄ノンキャリア出身でありながら、現在は科学技術庁長官に収まっている砂岡に対して強い嫌悪感を抱いていた。更に格下の京葉電鉄に頭を下げる形で、新幹線建設することにも激しい苛立ちを持っていた。

 そんな山口であったが1977(昭和52)年12月16日未明に自宅がガス爆発した。結果、石山文雄とその妻が焼死した。消防による検証ではガスストーブのガスホースからガスが漏れて、それが引火してのことであった。。


 常磐新幹線建設で障害となっていた人物が連続して死亡したことで、日鉄内での建設中止論が収束していった。そして1977(昭和52)年12月26日に常磐新幹線建設が決定された。


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