13・お見舞いに来るオオカミと逃げるネコ
玄関から入ると、ロビーにはたくさんの人がいた。子供連れの親が多く、親子共ほとんどマスクをしていた。
ここは子供の病院だから仕方ない。なんだか、小さな子供を連れてない俺がこんなところにいると恥ずかしかった。
ロビーを抜け、偶然廊下を歩いていた看護師さん、胸元の名札には『花田』と書いている人に恵聖の病室を聞いた。
「ああ。近津さんの病室は211号室ですよ。」
と笑顔で答えてくれた。俺は一礼して歩き出す。
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エレベーターを2階で降り、目の前には207号室があった。右を見ると、206、205、204・・・。と続いている。
左を見ると、208、209、210・・・と続いていた。
俺は左の方へ行き、211号室の前で止まる。
そして、ノックをしようと顔の近くで手をグーを作った。
しかし、俺は本当に恵聖に会う資格があるのか?などと考えると、ドアをノックできなかった。
部屋に入れずに廊下をウロウロしていると、看護師が一人現れた。
俺はその看護師をなんとなく見た。胸元には『佐次田』と書かれてある。
俺はその胸元の名札をなんとなく眺めていた。ふと、看護師の視線を感じる。俺が佐次田さんの顔を見ると、恥ずかしそうに会釈をしてきた。
そこで俺は気付いた!この佐次田さんは胸がすごく大きいことに。
よく、男性からの視線を感じるのだろう。俺はただ名札を見ていただけなのに、自分の胸をガン見していると勘違いをしたのかもしれない。
俺は顔を赤くして目をそらした。
「恵聖ちゃーん。診察の時間ですよー!」
そう言いながら佐次田さんは211号室に入っていった。そっか。今から恵聖は診察の時間なのか。俺は自分のタイミングの悪さに苦笑いをした。
しばらくしてストレッチャーで恵聖は運ばれていった。
恵聖はまるで眠っているようだった。俺は運ばれていく恵聖を見ているととても悲しいような気持ちになった。
俺が来たときに偶然にも運ばれていく恵聖。まるで俺から悪態を向けて逃げているような気がした。




