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20話


「無理」

「やっぱりだめですか……でも、鋼の魔法使ってる人って少ないんですよ?少しだけ、せめてコツだけでも……」

 コツ以前に、まともに魔法をつかえない以上教えられることなんてないんだが……まあ、こんな人の多い所で話す気はないのだが……

「なぜ、鋼の、魔法を?」

 聞いてから、ちょっとしくじったかな?と思う。なんだか期待を持たせる聞き方になってしまった気がする……



「そ、その……恥ずかしい話なんですが……初代様に憧れて……全属性魔法を目指してるんです」

 初代様?……えっと初代国王のことだったかな?初代だけなら、国王のことだって午前の講義で言ってた気がする。他の人、例えばナハートのご先祖様の『初代雷の王』みたいなのは、どんな会話の流れでも略したりしないものらしい。

「やっぱりみんな、『はしかの様なもんだ』って取り合ってくれないし……でも、もともと適性があった3つ以外に3つ属性を増やしたんですよ!」

 そして『全属性魔法』は初代国王が使い、今では王族の証ともいわれる魔法だとのことだ。……許可とかとらなくても大丈夫なのかな?まあ今の言い方だと、子供ならだれもが一度は目指す道なのだろう。



「まあ、増やしたといってもどれもFランクなんですが……って聞いてますか?」

「……一応。でも、学生の、俺より、教師に、聞いたほうが、いい。鋼の魔法、の、対策、とか言えば」

 教えてもらえるだろうと、これがごく一般的な方法だと思うのだが……ミコトは不満そうに反論してくる。

「ですから、いないんですよ。まともに使えるごく一部の人たちは、王国の盾として騎士をやってますから……」

「え?いないって、どういう、こと?」

 10ある属性のうちでも鋼はあからさまな戦士系なんだから、少ないっていうのにはかなりの違和感を覚える。想像してみてくれ、RPGなんかで魔法使い僧侶系ばかりでプレイなんてまずできないだろ?防御力の高い騎士ナイトとか楯戦士ガードは必須だろう?



「……そうですね、しいて言うのなら、時代ですかね?鍛冶の再活性期を過ぎて、いい武具が手に入らなくなって、遠距離、大火力を良しとするようになったから、ですか?」

 最後が疑問形になったのは、俺が起きたことに気付いたアーノルド先生が来たからだ。

「はい、こう言ってはなんですが……敵に接近しなければ戦えない鋼の魔法使いは、味方の遠距離型の魔法使いにとって、邪魔になることも多かったそうです」

 ……酷い

「それで、さらに使い手が減って、教えられる人がいなくなり魔法の練度が下がり、また使い手が減る、完全に悪循環ですよ」



 結果わずかに残った鋼の魔法使いは、技を絶やさないように国が保護することになり、才能あるものにとってはともかく、一般には使い手はさらに減ったらしい。

「本末、転倒」

「そうですね。しかし、そうでもしなければ上位の魔法は失われただろうという意見が大半です。と、話がずれましたね。ミコトさん、アスカ君は少し変わった境遇にある為、魔法の基本ができていません。ですから彼に魔法を教わることは諦めてください」

 あ~ひょっとして最初から聞いてたのかな?ミコトは結構落ち込んでいるようだが、こればっかりは仕方がない。



「まあ、一緒に勉強する分には、こちらとしても止めたりはしませんがね」

「……それぐらいなら、俺も、いろいろ、知りたいことが、あるし、かまわない」

 あまり変わらない気もするが、ニュアンスの問題なのだろう。あくまで学友であり師弟のようなものではない、と言えれば何の問題もないわけだ。ここまで考えて断っていたわけじゃないので、少し居心地が悪いな……

「えっと……じゃあ、お願いします?」

 こちらの事情を知らないミコトは、なぜこのような状況に落ち着いたのかわかっていないようだ。



「それではアスカ君、本題と行きましょうか」

 本題?ああ、やっぱり『心剣』の話かな?それはそうとして、完全に置いてけぼりくらってるミコトは放置ですか、先生?

「うむ、ようやくか!ともあれ大事無いようで何よりだ、アスカ・グランツ!」

 誰かと思えばナハートか。ティーナとラルツもいつの間にかこっちに来てるし。

「大分、加減して、もらったようで」

「確かに自分の得意とする戦法をとらなかったが、だからと言って手を抜いたわけではない!聞けば魔法を使うようになって日が浅いというし!不正を行ったのではないかという疑いをかけたことを、ここに謝罪する!」



 謝罪?あ~そういえば……中途入学に不正があったのでは、という疑惑で決闘になったんだった。まあ本当のとこ言うと、不正と言われたら反論できないんだよなぁ……

「かまわない。元々、こちらが、誤解させる、ような事を、言ったのが、原因」

 そうか、と和解の証と言わんばかりに手を差し出してきたので、握り返す。……熱い奴なので、勝手に鍛えてるんじゃないかと思っていたが、そこはやはり魔法使いということだろう。思っていたより遥かに細かった。



「これで仲直りだね。うん?喧嘩していたわけじゃないから仲直りっていうのは変かな?」

「どっちでもいいわ。それよりアスカ、どうしてあんな魔法をつかえたのかちゃんと話してもらうわよ」

 ああ、やっぱり……とはいえ一度話したことだし、結構すんなり話すことができたわけだが……驚かれることより呆れられた回数の方が多かったことに少し涙が出た。



 ナハートとの和解、『心剣(偽)』→『金気強化』、学友ミコト、を手に入れた。



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