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冥婚から始まる皇妃戦略 - 棺桶で叩き起こされた最強の妻  作者: 白狼九音
第一卷 冥婚から始まる鎮魂歌
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22/28

大宴

太和殿。

大燕で最も雄大な宮殿。

今、殿內には數多くの腳付きの膳が並べられ、人がぎっしりと座っている。

文官や武將、皇族や貴族、各國の使節が、黒山のようにひしめいている。

私は左側の三列目の席に案內された、皇子妃の席。

雲霓は本來なら自分の席に行くべきなのに、私の隣に座り。

「私が守るから」

周囲の高官や貴族たちはこぞって橫目で見るが、誰も何も言えない。

雲霓郡主、太后の『掌中の宝珠』、誰も逆らえない。

私はあたりを見回し、この人たちを値踏みした。

上座には太后が座っている。全身黒の禮裝、威厳と荘厳さを兼ね備えている。

太后の下座は淑妃、四十前後、手入れが行き屆いており、

顏にはプロの微笑みを浮かべているが、その目はずっと私の方に泳いでいる。

淑妃の向かいは第一公主蕭玉嬛。

彼女は今日、紫色の宮裝を著て、だらりと膳に寄りかかり、

手には酒杯をくるくる迴し、傍観を決め込むような表情だ。

さらに下座には各國の使節、大臣、そして——天極閣。

最も目立つのは北戎の使節団だ。

彼らは皮袍を著て、顎髭を生やし、がさつな座り方で、

周囲の大燕の官員たちとはまるで違う。

先頭は四十過ぎの大男で、顏中に肉がつき、目つきは陰険だ。

彼は私を一目見て、それから口を歪めて笑った。

その笑みは、見ているだけで不快になる。

雲霓が近づいてきて小さく解説する。

「あれが北戎の『左賢王』、阿史那骨篤禄っていう奴だよ。

去年、大燕には詩を詠める者はいないって挑発したのがこいつなんだ。

殘念ながらあの時は三兄がいなかったんだ!

めっちゃ気まずかった!」

私は頷き、この男を覚えた

——敵、しかも亡夫の生前の死敵。


宴が始まる。

まずは太后の挨拶、それから各國の使節からの獻上品、そして歌舞の披露。

すべては一見、ごく普通に見える。

でも——これは嵐の前の靜けさに過ぎない。

果たして、酒が數回まわったところで、淑妃が立ち上がった。

標的は私だ。

「第三皇子妃——念」彼女はにこにこと私を見ながら言った。「今日は先帝忌辰、景瀾殿下は國のために命を捧げられ、そなたは若くして未亡人、まことに気の毒なことです。しきたりでは、後輩は年長者に酒を獻じることになっております。そなたは嫁いで間もない身、まだ私に酒を獻じたことがありませんね?」

來た來た。

私は立ち上がり、杯を手にして、彼女の前に歩いた。

「淑妃様、わらわがお獻じいたします」

淑妃は笑って酒杯を受け取ったが、飲まずに私を見ている。

「この酒は私が特に用意させたものです。しっかり味わってくださいませ」

彼女は酒杯を私に差し返した。

私は下を向いて、酒杯の中の酒を見た。

色は澄んでいて、香りも良い。

でも私は知っている。この酒には問題がある。

前世でタレントを擔当していた時、こんな手口は數え切れないほど見てきた。

酒に薬を仕込み、公眾の面前で恥をかかせ、身を滅ぼさせる。

前世では、あの七人のクソどもにうかつにもやられて死んだが、

今世では同じ過ちは繰り返さない。

淑妃は私に恥をかかせたいのだ。

でもこちらは丞相の家の新入りの庶子なんかじゃない。

日本芸能界の神様だ!

私は杯を手にして。

「淑妃様のご好意、痛み入ります。しかし臣婦はただいま亡き夫のために喪に服しております。

しきたりでは、喪中は酒をいただけません」

淑妃の顏色がわずかに変わった。

「何が酒などですか。これは極上の桂花酒、差し支えありませんよ」

「わらわ、誓いを立てました。

喪中の三ヶ月間は、酒を一切口にしないと。どうかお許しくださいませ」

淑妃の表情は険しくなり、

彼女は橫にいる者に目配せをした。

その後ろにいた一人の妃がすぐさま言った。

「念妃、淑妃様が自らお酌されているの、

天下の前で、このようなお斷りは、禮を失するのでは?」

こ奴、目つきは鋭く、口調は意地悪い。

一目で事前に仕込まれているのがわかる。

そして私は無意識に周囲を観察、雲霓の手は既に刀の柄を握っている。

太后は無表情、彼女は見守っている。

七日前に私が三つの問題を解決できると大口を叩いた手前、

もし今、一人の側妃さえも満足に處理できなければ……

「それでは、お言葉に甘えさせていただきます」

私は酒杯を受け取った。

淑妃の目が輝いた、あれ、喜びの色。

「しかしこの酒は淑妃様から賜ったもの、わらわ、謹んでお受けいたします。ですから、」

私は杯を高く掲げ、できる限り優雅な足取りで窓辺に歩き、

皇陵の方角を向いた。

「この酒を以て先帝に捧げます。

天に在らせ給う御霊よ、燕の國泰民安をお守りくださいませ」

酒を地面に注ぐと、「じゅうじゅう」という音が。

地面に一片の焦げ跡が現れた。

その場が騒然となる。

「毒!」

「酒に毒が!」

皆の目が一斉に淑妃に向く。

淑妃の顏色は、極めて見苦しいものに変わり果てた。

私は振り返り、淑妃を見た。

表情はもちろん、無邪気そのもの。

「淑妃様、この酒の中には……何が入っていたんでしょう?」

淑妃の顏は赤くなったり青くなったり、しばらく言葉が出ない。

太后がゆっくりと口を開いた。

「淑妃、これはどういうことじゃ?」

淑妃は怖くなった。もし対処を誤れば、

欺君の罪で——斬首だ。

彼女は無意識にひざまずいた。

「こ、これは、わらわも存じ上げず……おそらく御膳房の者がうっかり……」

「存じ上げぬ?」太后が冷笑する。「そなた、自らが持ってきた酒じゃ。存じ上げぬと言うのか?」

淑妃の顏はさらに青ざめた。

おばあちゃん、やるな!

七皇子が立ち上がって、取りなそうとする。

「母上はきっと下賤な者に騙されたのでしょう。後でちゃんと調べればよろしい。

今日は先帝忌辰、お怒りになるのは控えられては」

淑妃はあの側妃に支えられて立ち上がり、

こそこそと自分の席に戻った。

太后は冷笑、それ以上は何も言わなかった。

しかしその目つきは、すべてを物語っていた。

私は優雅に自分の席に戻った。

雲霓が隣で興奮して私の腿を叩いている。

「姉さん!さっきの手、最高!なんで酒に問題があるってわかったんだ?」

「当てずっぽう」

「当てずっぽう!?」

「うん。毒が入ってるかどうかなんて知らない。

でも彼女が私に良いことなんてするはずないってことは知ってた。

もし毒が入ってなかったら、先帝に捧げるって言って、失禮にはならない。

もし毒が入ってたら、今みたいになる。

どっちに転んでも勝てるんだよ」

雲霓は私を見て、その目は憧れでいっぱいだった。

「姉さん、これからはもう『姉さん』って呼ぶ!……待てよ、

もし最初の一杯が無毒で、

次に毒の入った一杯をまた獻じられたらどうするんだ!?」

「そしたら言うの——二獻めは、

國のために命を捧げた亡き夫に捧げ、國家の武運長久を祈ると」

雲霓は一秒間ぽかんとして、それから親指を立てた。

「そ、それで三杯目に毒が入ってたら!?」

「三獻めは天下の民に捧げ、國土の風調雨順を祈る。

『三たびを過ぐるなし』って言うでしょ。

三回目で私が自ら飲めば、もう彼女に私を害する機會はない」

「姉さん、私は姉さんと三兄にだけは敵わないよ!」

「殘念だけど、私はあんたの義姉よ」

「違うたもん、あんたは私の実の姉だ!」

これはまだ前菜に過ぎない。本番は、まだこの先だ。


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