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車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


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### 第97話:微細な変化

### 第97話:微細な変化


プレイボールのコールとともに、真壁のサーブが鋭い唸りを上げて飛んできた。

昨日であれば、その強烈なスピードと変化に気圧され、体勢を崩したまま打ち返すのが精一杯だったはずだ。しかし、今朝の僕の視界は不思議なほどクリアだった。


(――来る!)


車体を無駄なくスライドさせ、骨盤を軸にして重心を完璧にコントロールする。野田さんに託されたマットブラックの車いすは、タイヤの摩擦音さえ心地よく響かせるほど、僕の意思にダイレクトに応えてくれた。


パァンッ!!


捉えた打球は、昨日のような浅い返球ではなく、真壁の足元を鋭く抉る深いクロスへと突き刺さる。

「っ……!」


初めて見せる真壁のわずかな動揺。御堂が慌てて前衛からカバーに入るが、その動きの予測さえ、今の僕たちの眼にはスローモーションのように鮮明に映っていた。


「いいぞ、瀬戸!」


翔太の力強い声がコートに響く。

スコアはまだ始まったばかりだ。だが、昨日までそびえ立っていた絶対的な壁に、僕たちは確実に最初の「亀裂」を入れていた。

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