### 第85話:新たな挑戦状
### 第85話:新たな挑戦状
「そこまでだ」
一ノ瀬コーチの短い合図で、私たちはその日の激しい連動練習を終えた。息を荒げ、汗まみれになったまま車いすのハンドリムに手をつく。翔太も大きく肩を揺らしながら、満足げに荒い息を吐き出していた。
「よく動けていた。だが、いつまでもそのレベルで満足しているわけにはいかん」
コーチは腕を組み、冷徹でありながらもどこか期待を込めた眼差しで私たちを見据えた。
「実はな、隣町の練習試合の件が向こうでちょっとした話題になっていてな。別の強豪チームから、今度は公式のジュニア選抜に向けた合同合宿への参加打診が届いている」
「合宿……ですか!?」
翔太が思わず声を裏返させ、私もまた心臓が大きく跳ねるのを感じた。
先日の練習試合でようやく掴んだ手応え。しかし、それはまだ小さな一歩に過ぎない。全国、そして世界を見据える選手たちが集う「合同合宿」という名の舞台。そこには、私たちがまだ見たこともないような、圧倒的な技術とフィジカルを持った同世代のプレイヤーたちが待ち構えているはずだ。
「ビビって尻尾を巻くか、それともその車いすで食らいつきに行くか。……答えは聞くまでもないな?」
コーチの不敵な笑みに、私たちは自然と口元を引き締めた。
あの最初の大会での絶望を乗り越え、自分たちの手で切り拓いてきた道。野田さんに整えてもらった最高の相棒とともに、私たちはさらなる高い壁へと挑むための車輪を、再び力強く前へ進めた。




