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車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


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83/106

### 第83話:新たな朝

### 第83話:新たな朝


特設コートの脇に朝日が差し込み、アスファルトのサーフェスに冷たい影を落としている。

隣町の総合スポーツセンターでの練習試合から数日。強豪ペアを相手に挙げた勝利の余韻はまだ胸の内に残っていたが、一ノ瀬コーチが言う通り、あれはあくまでスタートラインに過ぎなかった。


「おい、いつまで浸ってやがる! 動きが鈍いぞ!」


コーチの鋭いゲキが、朝の静かな空気を切り裂く。

僕たちはすぐに気を引き締め、ハンドリムを強く叩いてコート中央へと飛び出した。野田さんに完璧に調整してもらったマットブラックの車いすは、相変わらず最高のレスポンスで僕の意思に応えてくれる。骨盤を立て、腹筋と背筋の軸をしっかりと固定した状態から繰り出すストロークは、以前よりも明らかに重く、深い軌道を描いていた。


「行くぞ、瀬戸!」

「ああ、こい、翔太!」


翔太のラケットから放たれた強烈なクロスボールに対し、僕は車体を一気に加速させる。

最初の大会で味わった絶望と無力感。そこから這い上がるために泥臭く重ねてきた基礎の反復。そして、外の世界で強敵とぶつかり合い、自分たちのテニスが通用すると確信した経験。そのすべてが、今の僕たちの血肉となっている。


パァンッ!!


乾いた打球音が朝の空に響き渡る。

描いた軌道は、さらなる高み、まだ見ぬ全国の舞台へと真っ直ぐに伸びていく。

僕たちの物語は、ここからさらに加速していくのだ。

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