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### 第67話:進化した連動
### 第67話:進化した連動
「――よし、車体のバランスが戻っただけで、無駄な力みが抜けてるぞ」
特設コートに戻った翌日、一ノ瀬コーチは僕のストロークをひと目見るなり、そう鋭く指摘した。
野田さんに調整してもらったマットブラックの車いすは、漕ぐたびに右肩へかかっていた余計な負担を綺麗に逃がしてくれていた。車体が真っ直ぐ、滑らかに進む。それだけで、コーチに叩き込まれている「体幹の軸」と「上半身の連動」に集中できる余裕が生まれていた。
パァンッ!
しっかりと骨盤を立て、腹筋と背筋で生み出したエネルギーが、ロスなくラケットの芯へと伝わる。
最初の大会で味わった、あの絶望的な力の差――あのとき、ボコボコにされた自分の打球とは比べ物にならないほど、重く、鋭い軌道を描いてボールがコートの奥深くへと突き刺さった。
「悪くない。その感覚だ、瀬戸」
コーチの短い褒め言葉に、胸の奥が熱くなる。
自分の身体を鍛え直してくれるコーチと、その足元と相棒を極限まで整えてくれた野田さん。たくさんの人に支えられながら、僕たちのテニスは確実に次のステージへと進化していた。




