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車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


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### 第61話:過酷な基礎反復

### 第61話:過酷な基礎反復


「甘い! 減速のときに上半身が突っ込んでいるぞ、翔太!」


一ノ瀬コーチの鋭いゲキが、改装されたばかりの特設コートに響き渡る。

基礎トレーニングのメニューに加わった翔太は、車いすの急旋回とストップ&ダッシュの連続に、早くも肩で息をしていた。アスファルトのサーフェスが滑らかになったおかげでタイヤのロスはないが、それだけに自身の体力のなさと、車いすを思い通りに操る技術の未熟さがモロに露呈していた。


「くっ……! 分かってらぁ……!」


翔太は歯を食いしばりながら、必死に車輪を押し込む。

車いすテニスは「走る」「止まる」「方向転換する」のすべてを腕と体幹だけで行わなければならない。ただ球を打ち返す以前に、コート内を自在に動き回るためのボディコントロールができていなければ、実戦でまともなラリーなど組めないのだ。


僕は自分の練習の合間に、その様子をじっと見守る。

最初の大会で味わった圧倒的な無力感――あのとき、僕たちを絶望させたのは技術の差だけではない。フットワークの基礎、すなわち「車いすを身体の一部として使いこなす能力」の決定的な欠如だった。


「瀬戸、お前もぼんやり見てる暇はないぞ。次はお前の番だ」

「はい!」


コーチに促され、僕は再びマットブラックの車体をスタート位置につけた。

二人の基礎技術の習得への挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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