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車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


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### 第60話:二人での特訓

### 第60話:二人での特訓


「ほう、お前も基礎からやり直したいと?」


休憩を終えて戻ってきた一ノ瀬コーチは、僕たちの前で腕を組み、鋭い視線を翔太に向けた。

翔太は一瞬たじろいだものの、すぐに背筋を伸ばしてまっすぐコーチを見据えた。


「はい! 瀬戸だけじゃなく、俺も最初の大会で何もできずに負けました。我流のままじゃ、いつまで経ってもただの『壁打ち相手』で終わっちまう。俺も、本気で車いすテニスを極めたいんです!」


その言葉を聞いたコーチは、しばらく沈黙したあと、ふっと息を漏らして笑った。

「いいだろう。甘えは一切許さん。だが、本気で強くなりたい奴に背中を向けるほど、俺も野暮じゃない」


その瞬間、特設コートの空気がさらに引き締まった。

これまでは僕一人だった基礎トレーニングに、翔太が正式に加わる。体幹の意識、ラケットの面角度、そして車いすの機動力を上げるための地道なプッシュ練習――二人の挑戦は、ここから本当の意味でシンクロし始める。


「じゃあ、まずは基礎の基本、車いすの旋回とストップ&ダッシュからだ!」

「うっ、いきなりキツそうだな……!」


翔太の悲鳴まじりの声が響く中、僕はマットブラックのハンドリムを強く握りしめた。

部活を立ち上げ、環境を整え、そして二人の基礎を徹底的に叩き込む。最初の大会での挫折を乗り越えるため、僕たちは新たな一歩を踏み出した。

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