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### 第55話:蘇るコート
### 第55話:蘇るコート
数時間に及ぶ悪戦苦闘の末、僕たちは最後に大きな水ぶき雑巾で地面を丁寧に拭き上げた。
乾き始めた樹脂モルタルは綺麗にひび割れを塞ぎ、かつてのガタガタだったアスファルトは見違えるほど滑らかなサーフェスへと生まれ変わっていた。
「……ふう。終わったぁ……!」
翔太は力尽きたようにほうきを放り出し、その場にぺたりと尻餅をついた。僕も車いすのタイヤを少しだけ前後に動かしてみる。
――なめらかだ。タイヤの引っかかりが一切なく、地面に吸い付くようにスムーズに車体が滑っていく。
「これなら、思い切り漕いでもスリップしないな」
思わず笑みがこぼれる。プロの競技場のような立派なコートではないけれど、自分たちの手で汗を流して作り上げたこの場所には、何物にも代えがたい価値があった。
部活を立ち上げ、練習環境をようやく整えた。
ここからが、本当の意味での「基礎技術の習得」の始まりだ。
「さっそく、試してみるか?」
僕の問いかけに、翔太は疲れた顔のままニヤリと笑って立ち上がり、ラケットを構えた。
新しくなったコートに、乾いたボールの音が小気味よく響き渡る。




