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車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


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### 第54話:土曜日の改修作業

### 第54話:土曜日の改修作業


週末の土曜日、静まり返った学校の体育館裏。

普段なら部活の練習で汗を流しているはずの特設コートには、ボールの音の代わりに、ガリガリと地面を削る音が響いていた。


「うっわ、重……! 野田さん、これ冗談抜きでめちゃくちゃ硬いぞ!」


額に汗を滲ませた翔太が、補修用の樹脂モルタルを混ぜたコテを片手に、へたり込むように息を吐き出す。

僕もマットブラックの車いすから身を乗り出し、アスファルトのひび割れにモルタルを丁寧に流し込んでいく。右肩には鈍い痛みが走るが、先週の野田の工房でのやり取りを思い出しながら、手を止めるわけにはいかなかった。


ただの空きスペースだった場所を、自分たちの手で「まともに戦えるコート」へと変えていく。

最初の大会で味わった圧倒的な力の差、そしてボコボコにされた悔しさが、僕を突き動かしていた。あの敗北を無駄にしないためにも、まずはこの足元――練習環境の確保から妥協するわけにはいかないのだ。


「翔太、もうひと息だ。ここを平らにすれば、タイヤの引っかかりも完全になくなるはずだからさ」


「おう! 見返してやりたいもんな、次の大会じゃ絶対に!」


相棒の力強い声に励まされ、僕たちは再びコテを握り直した。

泥だらけになりながら汗を流すこの時間すら、強くなるための確かな一歩だと信じて。

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