### 第53話:野田の助言
### 第53話:野田の助言
放課後、僕と翔太は放課後の部活を少し早めに切り上げ、あの見慣れた町工場のシャッターを叩いた。
「こんにちはー!」
「お、どうしたんだお前ら、練習はもういいのか?」
奥から出てきた野田さんは、手にしていたレンチを布で拭いながら、あははと豪快に笑った。僕たちはアスファルトのひび割れや、タイヤが取られて正確なストローク練習ができないという現在の悩みを打ち明けた。
野田さんは腕を組み、ふむ、と顎に手を当てる。
「なるほどな。いくら車体を完璧に仕上げても、乗る足元がガタガタじゃあ、タイヤのベアリングにも余計な負荷がかかるし、何よりフォームが崩れる原因になる」
さすがはプロの職人、一言で核心を突いてくる。
「で、どうすればいいんですかね? 学校の予算じゃ本格的なコートの改修なんて無理だし……」
「予算がねえなら、知恵と汗を絞るんだよ」
野田さんはニヤリと笑うと、工場の一角を指さした。そこには、工事現場などで使われる廃材のゴムマットや、補修用の特殊な樹脂モルタルの端材が無造作に積まれていた。
「お前らが使ってるそのコート、元々はただの空きスペースだろ? だったら、自分たちで補修すりゃいいのさ。これを持っていけ。使い方教えてやるから、休みの日に汗かいてこい!」
野田さんから渡された補修材とアドバイスは、僕たちにとって何より心強い救いの手だった。
環境は、待っているだけじゃ手に入らない。自分たちの手で切り拓くしかないんだ。




