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車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


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### 第51話:新たな一歩

### 第51話:新たな一歩


放課後の体育館裏に新設された、小さな特設コート。

フェンスの脇には、昨日自分たちで運び込んだばかりの中古のネットがピンと張られている。冷たいアスファルトの地面には、真新しい白線がチョークで引かれていた。


「よし、これでコートの設営は完璧だな」


車いすのハンドリムを支えにしながら、翔太が額の汗を拭い笑着実に頷いた。

僕――瀬戸悠は、マットブラックの車いすからコート全体を見渡す。決して広くはないし、正規のテニスコートとは比べものにならない。それでも、ここは僕たちがゼロから作り上げた、正真正銘の「部活の練習場所」だった。


「部活設立の申請も通ったし、これで正式に動き出せるね」


翔太がバッグからラケットを取り出し、軽く素振りをしてみせる。

事故のあと、車いすに乗るようになってから、こんな風に自分の居場所をゼロから切り開くなんて想像もしなかった。けれど、野田さんとの出会いや、一ノ瀬コーチの指導を経て、僕の中で何かが確実に変わり始めていた。


――ここからが、本当のスタートだ。


部活として認められた僕たちは、まず何をすべきか。それは、我流で覚えたこれまでのテニスを一度解体し、車いすテニスにおける「絶対的な基礎」を叩き込むことだった。


「まずは基礎練からだ。翔太、付き合ってくれるか?」

「当たり前だろ! 最初の大会でボコボコにされた悔しさ、忘れてないっての」


翔太の頼もしい返事を聞き、僕は深く息を吸い込む。

基礎技術の習得、そしていつか必ずリベンジを果たすための長い道のりが、いま静かに幕を開けた。

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