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### 第49話:響き渡る打球音
### 第49話:響き渡る打球音
白線を掠め、一ノ瀬のコートの隅へと突き刺さった白い弾道。
あまりの勢いに、一ノ瀬は一歩も足を動かすことができず、ただ目で見送るしかなかった。
――コトッ、とボールが地面に弾む音が、やけに遠くの出来事のように響いた。
「……まじかよ……!」
フェンスの外から、翔太が我が目を疑うように両手で頭を抱え、それから次の瞬間には空に向かって力強くガッツポーズを突き上げた。
僕はハンドリムを握ったまま、激しく上下する肩を抑え、その場で動けなくなっていた。腕の筋肉は限界を迎え、指先がかすかに震えている。
だけど、胸の奥にあるのは圧倒的な解放感だった。
病院の天井だけを見つめていたあの絶望の日々。自分の足で立つことができない現実を呪った夜。そこから這い上がり、一ノ瀬に出会い、泥だらけになって機材を調整し、今日この日まで積み上げてきたすべての軌跡が、今、この一打へと結実したのだ。
「……ハッ」
コートの反対側から、一ノ瀬がゆっくりとラケットを下ろし、乾いた笑みをこぼした。
その顔に悔しさは微塵もなく、ただ教え子の成長を心から誇るような、鮮やかな光が宿っていた。




