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### 第39話:幕開けのコート
### 第39話:幕開けのコート
週末の朝、空はどこまでも高く晴れ渡り、初夏の心地よい風がアスファルトのグラウンドを吹き抜けていた。
指定された市営のテニスコートに到着した僕を、一ノ瀬の鋭い視線が出迎える。
「遅いぞ、瀬戸。待ちくたびれた」
「すみません……!」
僕は日常用の車いすから、マットブラックに生まれ変わった競技用車いすへと素早く乗り換えた。
新しいシートポジションが上半身をしっかりとホールドし、補強されたフレームが微動だにしない安心感をくれる。その圧倒的な一体感に、胸の鼓動が高鳴った。
フェンスの外には、わざわざ自転車で駆けつけてくれた翔太が、「負けるなよー!」と大きく手を振って気合を入れてくれている。
「ふっ、いい面構えになったな、瀬戸」
一ノ瀬がラケットを構え、コートの反対側へと歩みを進めた。
「お前のこれまでのすべてを、この一戦にぶつけてみろ。本当の戦いがここから始まる」
カキィンッ!
青空の下、乾いた打球音が鋭く響き渡る。
事故の絶望を乗り越え、傷つきながらも手に入れた相棒と共に、僕の物語はついに新たなステージへと踏み出した――。




