### 第37話:生まれ変わった相棒
### 第37話:生まれ変わった相棒
数日後、放課後のチャイムが鳴り響くのと同時に、僕は急いでスポーツ用品店へと向かっていた。
連絡を受けて駆けつけた工房の作業台の上には、見違えるほど精悍な姿になった僕の競技用車いすが鎮座していた。
「おっ、来たな、瀬戸」
作業着を脱いだ野田が、満足げな笑みを浮かべて車体を軽く手で押して見せる。
亀裂の入っていたキャスター支柱は最新の技術で強固に補強され、マットブラックに塗り直されたフレームは以前よりも引き締まって見えた。さらに、野田と一ノ瀬の判断で微調整されたシートとバックレストは、僕の体幹をしっかりと包み込むような絶妙なホールド感を生み出している。
「どうだ? 触ってみろ」
促されるまま、僕は日常用の車いすから競技用車いすへと身体を移し替えた。
瞬間、背中から腰にかけて伝わる密着感の違いに驚く。以前はどこか「乗せられている」ような不安定さがあったが、新しいポジションは上半身の力を余すことなく車体に伝えることができる。
「……すごい。体に吸い付くような感覚がする」
僕は感嘆の声を漏らしながら、ハンドリムに手を添えて軽く車体を前後に動かした。
タイヤが床を捉えるダイレクトな感触が、直接神経に伝わってくるようだ。
「見た目だけじゃなく、重心のバランスも徹底的に見直した。これなら無駄なロスを削ぎ落とせるはずだ」
一ノ瀬が腕組みをしたまま、冷徹な中にも確かな手応えを含んだ目で僕を見据える。
「だが、機材が良くなったからといって、お前自身の技量が勝手に追いつくわけじゃない。その新しい相棒に振り回されないよう、しっかり乗りこなしてみせろ」
「はい……!」
僕は力強く頷き、しっかりとハンドリムを握りしめた。
事故直後の絶望、自分の足で走れない現実、そして数々の試練と機材の破損。そのすべてを乗り越えて手に入れた、真の「相棒」。
週末に控える一ノ瀬との本格的な練習会に向け、僕の準備はついに整った。




