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車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


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107/108

### 第107話:交差する極限

### 第107話:交差する極限


「オラッ、終わりだ!」


第10ゲーム、真壁の放ったスマッシュが、まさに爆風のような勢いで僕たちのコートへと突き刺さろうとする。

スコアは5-4。マッチポイントを握る僕たちに対し、王者は最後のプライドを懸けて全身全霊のウィナーを狙ってきた。


(――見えた!)


だが、その弾道は僕の脳内ですでに完全に予測されていた。

野田さんがミリ単位で調整してくれたマットブラックの車いすは、まるで僕の神経の延長線上にあるかのように、一切のタイムラグなく右斜め前方へと鋭くスライドする。フレームが軋む音すら心地よく響き、骨盤の軸はブレることなく、極限の安定性を保ち続けていた。


一ノ瀬コーチに叩き込まれたすべての基礎が、ここで完璧に噛み合う。


パァンッ!!!


全身の力を乗せたラケットが、ボールの芯を正確に捉え、弾き出した。

それは真壁たちの予想の遥か斜め上を抜け、彼らの足元を完全に置き去りにして、ベースラインの隅っこへと深く突き刺さる。


「なっ……!?」


真壁の足が、そして御堂のラケットが、届かない。

静寂の訪れたコートに、主審の乾いたコールが響き渡った。


「ゲーム、アンド、マッチ……! セトー・翔太ペア、ゲームカウント6-4!」


勝った――。


胸の奥から、熱いものが一気にこみ上げてくる。

昨日、完膚なきまでに叩きのめされた0-6のスコア。あの絶対的な壁だった王者ペアを相手に、僕たちはついに、自らの手で勝利をもぎ取ったのだ。

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