↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
車輪の軌跡 ―時速0キロからの挑戦―  作者: じょんどぅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/106

### 第103話:加速する次元

### 第103話:加速する次元


「そこだ、真壁!」


御堂の鋭い叫びとともに、放たれたボールが僕たちのコートの右隅へと急角度で落ちてくる。

一瞬でも反応が遅れれば、そのままラインを割るか、完璧なウィナーを奪われるコースだ。しかし、僕の視界にはその軌道がスローモーションのように鮮明に捉えられていた。


(――間に合う!)


骨盤をしっかりと立て、腹筋と背筋の軸で上半身を完全にロックする。

野田さんにミリ単位で調整してもらったマットブラックの車いすは、僕の右腕のわずかな力みすら逃さず、地面を噛みしめるようにして最短距離へと滑り込んだ。フレームのガタつきは一切ない。完璧なシンクロ率で、車体はまるで自分の足の一部のように機動している。


パァンッ!!!


ラケットの芯がボールを捉えた瞬間、これまでにないほど重く、鋭い打球音がサブコートの空気を引き裂いた。

ボールはネットスレスレをかすめ、相手コートのベースライン深くへと突き刺さる。追いついたはずの真壁のラケットは、その強烈な勢いに弾かれるようにわずかに上体を反らされた。


「なっ……!?」


真壁の口から、驚愕の息が漏れる。

先ほどまで僕たちを圧倒していた王者のスピードが、今の僕たちの予測と機動性の前では、ほんの少しだけ遅れて見えた。


「ナイスショット、瀬戸!!」


隣のポジションから翔太が満面の笑みを浮かべ、そのまま勢いよく前衛へとポジションを詰める。

スコアは3-3の同点。しかし、コートの主導権は完全に僕たちの掌へと移りつつあった。


全国の頂点という高すぎる壁。

その巨大な要塞に、僕たちは今、確実にとてつもない亀裂を刻み込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。