### 第102話:交錯する気迫
### 第102話:交錯する気迫
「ゲーム、瀬戸・翔太ペア、3-3!」
すかさずゲームを取り返し、スコアは再びイーブンに戻った。
ラリーの応酬はすでに互いの体力の限界を削り合う領域に達しているが、僕たちの車いすの機動性は衰えるどころか、むしろ研ぎ澄まされていくようだった。
「ちっ……! また追いつきやがった!」
真壁の表情に浮かんでいた余裕は完全に消え去り、額に滲んだ汗を乱暴に拭いながら、荒い息を吐き出している。御堂もまた、冷静さを保とうとしながらも、そのラケットを持つ手にわずかな緊張の色が滲んでいた。
(いける……! あいつらのリズムは確実に崩れている!)
野田さんに調整してもらったマットブラックの車いすは、激しい方向転換の連続にも一切のブレを見せず、僕の身体と完全に一体化していた。一ノ瀬コーチに叩き込まれた体幹の軸が、どんなに疲労の色が濃くなっても正確な打点へと僕を導き続けている。
「おい、瀬戸! このまま一気に飲み込んでやるぞ!」
翔太が力強く声を張り上げ、ギラギラとした闘志をその瞳に宿す。
スコアは3-3の同点。
全国の頂点へ向けたこの激闘は、どちらが先に相手の心をへし折るかという、究極の心理戦と技術戦のフェーズへと突入しようとしていた。




