### 第100話:拮抗の果て
### 第100話:拮抗の果て
「ゲーム、瀬戸・翔太ペア、2-2!」
主審のコールと同時に、スタンドの端で見ていた他の選抜メンバーの間から、小さなどよめきが漏れた。
ついに僕たちはゲームカウントをタイに戻したのだ。昨日までの圧倒的な力の差が嘘のように、コート上の空気がガラリと変わり始めている。
「くそっ……! なんで追いついてくるんだよ!」
真壁が顔を歪め、自分のラケットフレームを軽く叩きつける。
これまで全国の舞台で王者のように君臨してきた彼らにとって、ノーマークだったはずの僕たちがここまで食い下がってくることは、想定外の脅威でしかなかったのだろう。その焦りが、ショットの正確性をわずかに鈍らせている。
(勝てる……!)
胸の奥で、熱い確信が波のように押し寄せる。
一ノ瀬コーチに叩き込まれた揺るぎない体幹の軸。野田さんがミリ単位で調整してくれたマットブラックの車いす。そして、隣で息を荒げながらもギラギラとした闘志を剥き出しにしている翔太という最高の相棒。
「おい、真壁! まだまだ序盤だぜ、気合入れ直せよ!」
翔太が挑発するようにラケットを軽く回し、相手を真っ直ぐに見据える。
僕もまた、車いすのハンドリムにしっかりと力を込め、次のサーブへと視線を据えた。
スコアは2-2。
全国の頂点へ向けた激闘は、いよいよ本当の佳境へと突入しようとしていた。




