予備軍法
俺が洞隊に配属されて二週間後のこと。
俺は完全に洞隊の仕事になれていた。
そのお陰で毎日の朝の仕事は俺のものになった。
俺は特に滞りもなく、朝業務を始めた。
そして、20分後に全ての業務を終わらせた。
「おつかれ。じゃあ、俺は寝るっから。」
すると、そう言い残して朝から昼寝を始める先任。
朝だというのに、もう寝るとか本当に呆れる気持ちだった。
だけど、俺はそんな先任を特に責めることができなかった。
何せ仕事が無さすぎる。
これは他の人からすると祝福のようなことだろうけど、俺に取っては地獄のようなことだった。
基本的に俺としては仕事時間には仕事があってほしい派の人間だったのである。
「暇すぎるな......」
俺は一人そう呟いたものの。
俺の言葉は一人宙を漂った。
今日は上司さえも大隊に呼ばれてしまって居ない。
ということは、本当に人目も気にせずにだらだらといられるということだった。
でも、ダラダラって何をすればいいんだ?
俺の中にそういう疑問が浮かんだ。
もちろん、当時にもスマホはあった。
スマホがあれば時間潰しなんて容易い。
しかし、俺たちには出勤するとスマホを提出しないと行けないというルールがあった。
だから、俺のスマホは上司の部屋のロックの掛かった箱に保管されていた。
これでは満足に時間潰しも出来ない。
本当に何をしたらいいかわからない。
「何かないかな?」
俺は回りをキョロキョロと見渡した。
そうすることで、俺は白くてデカい一冊の本を見つけた。
「本か......」
本はちょうど良い。
俺は生粋の本好きだったからそう思った。
だけど、そんな俺の期待は完全に裏切られた。
俺が見つけた本のタイトルが予備軍法だったのである。
「うげ......いやなタイトルだ。」
俺としては必要ではあるものの、まるで要らない知識がつまっている本だった。
なるべく、軍に関する知識を頭に入れたくなかった俺としてはいい迷惑だった。
俺は一瞬その本を棚に戻すかと思った。
「でも、背に腹は代えられない。」
俺は暇なことを耐えきれなかった。
俺は予備軍法に関する本を読み始めた。
それから、昼ご飯の時間になり、先任は眠りから覚めた。
先任は予備軍法の本を読んでいる俺を見るや否やこんなことを言ってきた。
「お前頭大丈夫?」
「いや、暇すぎて......」
「暇でもそんなもの読むものじゃないだろうに......」
そこまでかと思ったものの、そこまでかと思った。
確かにこんな本を好き好んで読む奴はいないだろう。
読んでいる自分でもなんでこんなものを読んでいるかと思ったくらいである。
「お前、引くわ......」
先任は本当に俺に引いているようだった。
俺は今度からは自前で本を持ってこようと決心した。




