表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラスボス悪女に転生した私が自分を裏切る予定の従者を幸せにするまで  作者: 菱田もな
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/68

エミリア・セラフィーネ-4



◇◇◇


 迎えた当日。

 わたしは緊張と不安で一睡もできなかった。


「……お嬢様、大丈夫ですか?」


 青白い顔で支度をするわたしを見て、メアリーが心配そうに声をかけてくれる。


「ええ、大丈夫よ」

「とても大丈夫には見えませんが……ひどい顔色ですよ」


 メアリーの言うとおり、鏡に映る自分の顔はひどいものであった。

 だけど、わたしは「大丈夫だ」と念押しをする。


「心配かけてごめんね。でも、本当に大丈夫なの! 昨日、なかなか寝つけなくて……」

「あら、そうだったのですね。なにかお悩み事が?」

「あー、えっと、今日なにを着ようかなって悩んじゃって!」


 誤魔化すように言うと、メアリーは「確かに、久しぶりのエミリア様とのお出かけですものね」と呟いた。


「そうなの。……それに、今日はいつもよりちょっと気合を入れたくて」

「気合い、ですか?」


 なんの気合いだと言わんばかりに、目を瞬かせているメアリーに向かって、わたしはにやりと笑った。


「ええ。だって、今日はデートだからね」

「まあ!」

「だから、メアリーも協力してね!」


 その言葉に、彼女は「お任せください」と力強く頷いてくれる。そして、二人でああでもないこうでもないと言いながら、必死にドレスを決めたのだった。


 



 屋敷を出ると、馬車の近くにレインが立っていた。小走りで彼の元へと駆け寄ると、待ちくたびれたと言わんばかりに声をかけられる。


「随分と遅かったですね」

「ちょっと、準備に手間取っちゃった」


 えへへ、と笑うと冷たい視線を向けられてしまう。だけど、仕方ない。同性同士で出掛ける方が、服装とかにも気をつかうものなのだ。


(まあ、結局シンプルが一番だと無難なドレスに落ち着いたけど……)


 少し地味だっただろうかと不安になっていると、レインに「こっちへ来て」と呼ばれる。


「どうしたの?」

「右手、出してください」


 言われたとおりに右手を差し出すと、カシャンと音を立てて、腕輪が付けられた。

 突然なんだと思いながらも、右手につけられたそれを見て、わたしは目を見開く。


「……これって、あの腕輪?」


 わたしが市場で買った筋力が十倍になる腕輪。どうせ意味がないからと、その辺に放置しておいたのに。


「一応、防御魔法もかけておいたから付けていきな」

「レイン〜〜っ!! ありがとう〜〜!」


 喜びのまま抱きついてしまいそうになったが、ここでは人目があるので、ぐっと堪えた。

 それでも嬉しくて、だらしない笑みを浮かべながら何度も腕輪を眺めてしまう。


「そんなに嬉しいですか?」

「もちろん。ねえねえ、無事に帰ることができたら、レインのお茶が飲みたいなあ」

「別にお茶ぐらい、いつでも淹れますけど」

「やったぁー!」


 約束ね、と小指を差し出すと、レインは「はいはい」と呆れながらも、自身の小指を絡めてくれた。


「というか、無事に帰れたらとか……そういう縁起でもないこと、言わないでくれます?」

「たしかに! 不吉だったね!」


 そう言って「あははは」と笑えば、「笑いごとじゃない」と怒られてしまった。


「安心して、ちゃんと怪我ひとつなく帰ってくるから!」


 そう言うと、わたしは手を振って馬車へと乗り込む。途中、こちらを見つめるレインと目が合ったので、安心させるようにウインクをしておいた。


(……おいおい、嫌そうに目を逸らすんじゃないよ)


 まったく、失礼な男である。

 やれやれと思いながらも、一人になった馬車の中でわたしはふと気がついた。


(……もしかして、さっきのって死亡フラグ立てちゃった?)


 いやいや、気のせいだ。大丈夫、大丈夫。

 それでも少しだけ不安になって、わたしは馬車に揺られながら、自身の無事を必死に祈ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ