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開かずの塔のダンジョンマスター  作者: てぃる
魔物の襲撃と街の危機
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さーんじゅ!

「我が主、このモニターは何処を映しているのですか?」


 指令室で進化談義をしていると、ミリアがモニターの一つに注目を始めた。


『領主って呼ばれてる奴の屋敷だな』


 見てみると、いつもより人が集まり始めている。


「珍しいな。コア、石は?」


『昼に見たままだ』


 そっか。じゃあなんの集まりだ?


「石とは?」


「この塔の扉の鍵の一つだよ。詳しくは秘密な」


 彼らは限定空間魔法である程度自由に出入り出来るから扉の秘密を知らせる必要はない。


 そもそも塔から出る用事なんてない。


「ボリュームあげるか」


 まだ参加者が揃っていないのか、季節の挨拶とかしてる。


「…全員そろったな」


 領主って呼ばれてた男性。名前なんだっけか。ノートノート。


 レイヴンだ。確か伯爵。


「緊急の招集という事だったが、例の冒険者グループがもう到着したのか?」


「いや、それはまだだ。港町から来るんだ、あいつらはまだあと1週間はかかるだろう」


 例の冒険者?


「それならば何の用件だい? あたしゃ忙しいんだがねぇ」


「騎士団長と冒険者ギルド長から連名での招集だ。ブレイン子爵、説明を頼む」


 その言葉に派手な騎士服を着た男が口を開く。


「最近巡回の騎士達から魔物の発生件数と被害の増加が確認されている。冒険者ギルドにも確認したところ、確かに魔物の数が増えているとのこと」


 ザワザワと会議場が騒がしくなる。


「魔物…具体的にはどのような魔物が?」


「ゴブリンやオーク、狼に熊。虫にトカゲ等々。種別を問わず、昔からここの近辺で確認出来ていた魔物がどれもこれも散発的に現れてきている。素材の買取も増えてきているな」


「被害は?」


「特別、凶悪な個体が現れた訳ではないからな。騎士団としては人的被害がいつもより多い訳ではない」


「冒険者ギルドでも同様だ。まあ新人が多少やられたくらいだな」


「…話を聞いた限り、こうして我々を集める程の事態とは思えないのですが」


「甘いで、ワンコの神父はん。魔物が増えるっちゅうんは原因があるんや」


 関西弁にしか聞こえない小人商人の指摘。


「ラダック殿の言う通りだ。冒険者に調査隊を依頼したところ、西の廃村付近に大規模な魔物の群れを観測した。ゴブリン、オーク、そしてオーガの混在した群れだ」


「魔物が種族を超えて集まるというのはすなわち…」


「指揮する強大な魔物の存在だな…オーガロードか?」


「斥候に放った冒険者達も指揮者を確認したかったそうだが、遠目で確認出来なかったらしい。流石に群れの中に潜り込んでの調査をさせるような事はできんからな」


 魔物の群れがこの塔の街に近づいているらしい。


「群れの規模はどないなもんでしょ?」


「報告によると、約4000といったところだ。種族別では判別しづらかったらしい。一番多いのがゴブリンだそうだ」


「人型の魔物が4000だと…」


「不味いねぇ、レイヴンどうするよ」


「…アノーロア要塞に救援要請を出す。それと中央騎士団にもな。冒険者達にも緊急依頼を要請したい」


「こっちとしては問題無いが、ウチのエースは今いないぜ?」


「分かっている。迎えに行かせているからな。だが北部のダンジョンが見つかって以降、冒険者が集まっているだろう?」


 へえ、ここの北にダンジョンなんかあるんだ?


「まあ頭数だけはな」


「冒険者の偵察を出さねばな。魔物の動きによっては応援の騎士は間に合わないかもしれん。アノーロアはともかく、中央は距離がある」


「アノーロアからも出せる人数は限られています。我々常駐の騎士団では数は300程度。ゴブリンやオーク程度にやられる者はおりませんが、オーガは厄介です。まあそんな訳で我々騎士団は魔物から街を守らなければなりません。ですので支援を要請致します」


「具体的にお言い、こっちも国のお抱えの組織なんだ。やる事は分かってるよ」


 お婆さんが騎士に言う。


「魔法省は魔法兵の出兵準備と回復薬の準備をお願いします」


「はいはい、若いのを戦場に送るのは気が引けるねぇ」


「アラディア様に出て頂いても構いませんよ?」


「冗談はおよし、あたしみたいな年寄りを働かせるもんじゃないさね」


 その言葉にこの場の全員が苦笑いをする。


「冒険者ギルドには斥候による偵察を、それとCランク以上の冒険者達の街の外への移動を制限したい」


「移動制限は嫌がられるんだよなぁ」


「すまんなギルド長、なんとか抑えてくれ」


 領主がスキンヘッドに声をかける。


「商業ギルドはアノーロアへ卸す武具をこちらに譲って貰いたい。あちらの守護騎士長にはこちらから話を通そう」


「あちらさんと話を通してもらえればかまへんで、お代はもうもろうとるしな」


「助かる。この場にはいないが、鍛冶ギルドのホルストにも武具の支援を要請しておく。この街の危機、皆と一丸となって乗り越えていきたい」


 領主が言葉を締めると、今度は書類を配り出した。


 先ほどの各ギルドや団体への書類作成のお時間に変わったらしい。


 どうやら話し合いは終了のようだ。

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