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へんっしんっ!
「大変失礼を言い申し訳ございませんでした」
「…もうしわけひゃりまへんれした」
疲れ切ってぐったりし、ボコボコに顔の腫れたフィーと、同じく疲れてはいるがまだ余裕がありそうなミリア。
「方向感覚を乱す鏡とガラスの壁、冷静さを失いかねない罠の数々。同士討ちを誘発させかねない幻影を発生させる魔物…恐ろしいダンジョンでした」
「なじぇ…わたひばかり」
ミリアにボコボコにされたフィーが嘆く。
幻に蝕まれたのをミリアが何度も力ずくで正気に戻した結果だ。イケメンはボコられるとイケメンではなくなるらしい。新発見だ。
「しかし、幻惑胡蝶程度の幻惑の鱗粉でやられるとはね。フィー、鍛え方が足りないんじゃない?」
DPで出した強力な回復薬をフィーに与える。
「なんで私に効いてミリアに効かないんですか。というか幻惑胡蝶程度の鱗粉が私に効くとは」
回復早いなー。
『あー。幻惑胡蝶だけじゃねーぞ…超幻魔蝶もいるからな』
超幻魔蝶? そんなの居たっけ。
『マスターが加護を受けた影響で、進化した個体がいたんだ』
「なるほど。エメラ様から直接加護を授かったのですから配下の者にも影響があったのですね…私が超幻魔蝶の影響を受けなかったのもエメラ様の加護のおかげですね」
「…私はモロに影響を受けたのですが」
『そりゃ名付けして貰ったか貰ってないかの差だな』
「えっ!?」
ぎゅるんっ! と音が出そうな勢いで首を振るフィー。
「貴女、いつの間に!」
「えっと…呼んで頂いた直後に…」
「ずるい…羨ましい…私も欲しい…」
恨みがましい視線をミリアに向けるフィー。
「いやぁ、その…あははははは」
あー、あれは不可抗力というか。
「欲しいか。じゃあ付けないとな」
「い、いえ! 私はまだ、名付けを頂くに相応しい仕事何も…」
「まーまー、ミリアなんて仕事自体する前に付けたんだし」
そもそもミリアはこのダンジョンに来てから一眠りして、2Fをうろついただけだ。
コロも呼んですぐに名前を付けているし問題ないだろう。
「えっと、それは…」
「じゃあ名付けな、フィリアーネ…の名前は女性の名前なんだっけか」
フィーは男だ。それに自分の名前が余り好きじゃないらしい。でも神様に貰った名前、嫌い切れない部分もあるとのこと。
「…フィルだな。よし、フィー、『フィル=フィリアーネ』の名前をお前に与える」
魔力を力いっぱい込めて『フィル=フィリアーネ』の名を呼んだ。
「がっ! ぐああああああああ!!」
フィーが地面に転がって悶絶を始める。
ああ、魔力差が多いと名付けの時に苦しむんだっけか…あれ!? なんか苦しみだけじゃないんだけど!
「フィーの髪が!」
「まあ!」
『おお、赤くなってくな』
コアの言う通り、銀髪だったフィーの髪の毛が血の様に赤く染まっていく。
「ぐおおおおおお!! むうん!」
気合一発、フィー…フィルが立ち上がった。
「有難う御座います! フィル=フィリアーネ! 命を懸けて歩様に仕えさせて頂きます」
キラッキラのいい笑顔のフィル。
「フィル、フィル。髪の毛」
鏡が無いのでモニターに顔を映す。
「赤い…まさか! コア様! 確認出来ますか!?」
『おう、ブラッドエルフだな』
「進化! 素晴らしい!」
「おめでとうフィリアーネ、良かったわね。今後はフィルって呼ぶ様にするわ」
「あれ? でもミリアは進化してないよね?」
「恐らくですが、魔法の神エメラ様の影響力がフィルには強いんだと思います。私が名付けで進化すると
なると、光の神ナラヴィル様の加護が必要かと…進化先があればですが」
「そうか、貰った神様とお前達種族の関係が…」
「間接的に頂いた加護ではここまで力が強くないですから、普通はないですよ? そもそも進化出来る条件が分かっている種族なんてほとんどいないのですから」
魔物の進化はいくつか分かっているが、基本的に碌な方法ではないらしくあまり伝えるものではないらしい。
だからあまり伝わっていない。
力天使のミリアはそもそも自分に進化する余地があるかどうかも不明らしい。
そう考えるとDPでいきなり進化先の魔物を召喚するってチートだ。




