表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なつみの、ひとりごと日和  作者: ひまわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/68

バスタオルさんのやさしい夜

「ただいま〜」

夏美が玄関の扉を開けると、外より少しひんやりとした空気が頬にあたる。

今日はよく動いたなあ。品出しにレジに、笑顔もいっぱい使った。

でも、楽しかった。おじいちゃんのお客さんがくだらないダジャレを言ってきて、それが妙にツボに入って。思い出しても、くすっと笑えてくる。


「おかえり〜。ご飯もうちょっとでできるよー」

キッチンから聞こえる母の声。

「うん、お風呂先入ってくるね〜」

汗でぴったり張りついたボーダーのTシャツを脱ぎながら、夏美は脱衣所へ。


シャワーを浴びて、湯船につかると、体がふわぁっとほどけていくようだった。

(はぁ〜〜〜〜。今日も、無事終わった)


お風呂から上がり、足元のバスマットをふむと、ふんわり心地よい。

すぐそばには、いつものバスタオル。ふっくらした綿の厚みが、待っていたみたいにそこにある。


「夏美嬢、今日もお疲れ様でしたね」

「うん、バスタオルさん。今日もありがと」


そっと肩にかけると、まるで大きなやさしい手で包まれたみたい。

あったかくて、ちょっぴりひんやりして、でも心までぽかぽかになるような。


「どうか、この柔らかなぬくもりで、夏美嬢の一日が少しでもほぐれますように」

「うん…なんか、涙出そうなくらい気持ちいい」

「おっと、お風呂あがりの水分まで吹き飛ばしてしまいそうですな」


ふふっと笑いながら、髪を拭き、腕を拭き、背中をなでるようにぬぐっていく。

それはただ水分を取るだけじゃなく、今日の疲れや、ちょっとした不安や、がんばった気持ちまでも、ぜんぶぜんぶ、吸い取ってくれる気がした。


「今日ね、ちょっと嬉しいことがあったんだよ」

「おお、それはぜひお聞かせくださいませ」

「レジでおじいちゃんと一緒に来てた小さい男の子が“ありがとう”って言ってくれてね。それがすっごく可愛くて…」


そんな風に、まるで日記をつけるように、夏美はバスタオルに話しかける。

話を聞くように、そっと包みこむやわらかさ。


拭き終わってタオルハンガーにかけたとき、なんだか名残惜しくて、

「また明日ね」

と、つぶやいてしまった。


バスタオルの端が、ちょこんと揺れたように見えた。

まるで、「おやすみなさいませ、夏美嬢」と言ってくれたみたいだった。


がんばった一日の終わり、そっと寄り添ってくれる存在がいるだけで、心はふんわりほぐれていきます。

バスタオルさんのやさしさが、夏美の明日をそっと照らしてくれるような…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ