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なつみの、ひとりごと日和  作者: ひまわり


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朝のゴミ箱と、青い空

お天気がいい朝。

雲ひとつない空に、夏美の心も軽くなる。

「今日はなんだか、いい日になりそう〜」

スキップしながらバイト先へ向かっていた、そのとき――


「いたっ!」


自販機の横にちょっとはみ出して置かれたゴミ箱に、コツンと膝をぶつけた。

「も〜、ちゃんと所定の場所にいてよね〜」

文句を言いながら足をさすっていると、妄想が始まった。


「そんなこと言われたって…動けないんだもん」

えっ? ゴミ箱が喋った?


「僕はただここにいるだけ。誰かの飲んだ空き缶を、静かに待ってるだけ。

誰かの喉を潤したその缶を、ちゃんと最後まで見届けたいんだ。

足も手もないけれど、町がゴミで汚れるのは見ていられない。

風に転がっていく缶を見るたびに思うんだ――『僕の中に入れてくれたら…』って」


夏美は、なんだか胸がキュッとした。

「…ごめんね、文句言って。そうだよね、ずっとここで頑張ってるんだもんね」


するとゴミ箱が、ぽつりと話しはじめた。


「この前さ、小さな女の子がね、落ちてる空き缶を拾って入れてくれたんだよ。

手がちっちゃくて、背伸びしながら『えいっ』って。

すごく嬉しかったんだ。僕のこと、ちゃんと見てくれてる人がいるんだなって」


夏美の中に、背の小さな女の子が缶を入れる姿が浮かんで、じんわりと胸があたたかくなる。


ちょうどそのとき、自販機の下から空き缶がコロコロと転がり出てきた。

夏美はしゃがんで、それを拾い、やさしくゴミ箱の投入口へ――ストン。


「ナイスイン」

妄想の中のゴミ箱が、うれしそうに笑っている。


そのとき、トラックの音が近づいてきた。

制服姿の回収のお兄さんが現れて、手際よく中の空き缶を取り出していく。


「よく頑張ったな〜。今日はたくさん入ってるじゃん」

お兄さんはそう言って、ゴミ箱の横をポン、と軽く叩いた。


「えへへ…でしょ?」

妄想のゴミ箱が、またちょっぴり照れて笑った。


夏美は立ち上がって、そっとつぶやいた。

「これからも、よろしくね」


ゴミ箱は何も言わなかったけれど、

その角がちょん、と風に揺れた気がした。


そして夏美は、またスキップを再開する。

朝の空は、さっきよりももっと青くて、やさしかった。

いつも何気なく通り過ぎるゴミ箱も、きっと誰かの優しさや想いを受け取って、静かに町を守っているのかもしれません。

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