たまごっちじいさんと妄想レジ日和
レジに並ぶ、いつもの常連のおじいさん。
「こんにちは〜」
「おう、今日もええ笑顔じゃの〜」
ニコニコしながら財布を取り出したおじいさん。それと一緒になにやら見慣れない小さなオモチャ。
(…たまごっち!?)
夏美の目が止まる。
(いまだに持ってる人、ほんとにいたんだ…)
レジを打ちながら、ふと夏美の妄想が始まった——
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たまごっちじいさんの妄想物語
朝7時。
「おはよう、お前さん。今日は冷えるのう」
パチッとたまごっちのボタンを押すじいさん。小さな画面に浮かぶキャラクターは、お腹をすかせて泣いている。
「よしよし、ご飯じゃご飯じゃ」
ピコピコ…とボタンを押しながら、まるで本物の孫にごはんをあげるように微笑む。
(孫がくれたんだろうか…)
夏美の想像は続く。
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あの日、じいさんの家を訪ねてきた小さな男の子。
「じいじ、これあげる!もう飽きたから」
「ほう…これはなんじゃ?」
「たまごっちだよ。ボタン押して育てるの。ちゃんとお世話しないと、すぐ死んじゃうんだよ」
「それはいかんのう。わしがしっかり育ててやるかの」
それ以来、じいさんは毎日たまごっちと過ごすようになった。
お茶を飲むときも、テレビを見るときも、ポケットの中にはたまごっち。
「今日は外に出かけるぞ〜。お前も一緒じゃ」
近所の公園でベンチに座り、たまごっちと会話をするじいさん。
「お前さん、最近太ってきたのう。運動が足らんぞ」
ピピッ、と運動アイコンを押して、一緒にジャンプさせる。
(たまごっちって、じいさんにとっては相棒なんだ…)
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「お待たせしました〜298円です」
夏美の声に、おじいさんが「ほい」と支払いながら、たまごっちをそっとポケットに戻した。
(もしかしたら、孫がくれたのかも…それとも、ただ懐かしくて持ってるだけかも…)
——本当のことはわからない。
でも夏美は、レジを打ちながら、なんだかほっこりとあたたかい気持ちになった。
「また来てくださいね。たまごっちと一緒に」
そう言うと、じいさんはにっこり笑って、店をあとにした。
(かわいいなぁ、たまごっちじいさん…)
夏美の妄想は、今日もちょっとだけコンビニの空気をあたたかくしていた。
レジに立っていると、ふと目にとまった小さなものが、想像の世界を広げてくれる。
たまごっちを大事にしているおじいさんを見て、夏美の心に浮かんだのは、やさしくてあたたかい“もしもの物語”。
ほんの数秒のやりとりが、ほっこりとした妄想へと変わる——そんな日常




