↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/23

第7話【運営視点】未確認事象

 PCが並ぶゲーム会社のオフィスで、難しい顔つきをしているスタッフが数人、モニターを睨んでいた。ベテランスタッフと眼鏡をかけた新人スタッフが話し合っている。


「ちょっとこれ、どう思いますか?」

「うーん、石田先輩の忘れ形見としか……」

 

 石田先輩といえば、GALAXY(ギャラクシー) ONLINE(オンライン) BLUE(ブルー) OCEAN(オーシャン) の生みの親である。去年亡くなったプロジェクトの功労者だ。新人スタッフも知っている。


「マップが二重になってますよ?」

「通常マップに加えて、別のマップが存在してるってことだな」

「これってつまり、隠しダンジョンですよね」


 石田先輩はとにかく遊び心に溢れた存在だったし、スタッフからも慕われていた。そんな彼ならば、こういうことをしてもおかしくなかった。


「さすがに問題ですよ、これ」


 モニターには、とある男のプレイ記録が映っている。


「本来存在しないはずのゲームマップ――」

「そこに、プレイヤーが立ち入った」


 スタッフたちは、GOBOのシステムを石田先輩から教えられていたが、その全容は天才石田先輩の頭のなかであった。あるいは、もともと別のゲームのうえに、GOBOがプログラムされたのか。分からなかった。


「プレイヤーは?」

「プレイヤー〈ライデン〉、要塞戦ランキング上位者とスレッドが立っていたプレイヤーですね。人気も実力もあるプレイヤーがチート? まさか……」

「いや、チートとはニュアンスが違うよ。この場合は」

「隠しダンジョン内で、交戦中の艦隊と要塞を見つけて、要塞を攻撃したみたいですね?」

 

 ベテランスタッフが両手を組み合わせて、切り出した。


「交戦中の艦隊なんだが、GOBOの中枢システムが生成した幻? みたいなんだよ」


 眼鏡をかけたスタッフが口をぽかんとさせた。


「え? どういうことです」


 ベテランスタッフが腕を組んだ。コーヒーカップを啜る。


「だからさ、NPCとして自動生成されたプレイヤーキャラじゃなく、GOBO内の中枢システムが応答したみたい? ってことさ」

「そんなことありえるんですか?」

「GOBOの表層システムでは、ゲームの基本的な流れを構築しているけれど、深層システムには、石田先輩の思想が色濃く出てるからな。さっぱり分からないんだよ」

「彼ってやっぱり天才ですね」


 石田先輩はゲームを独特な思想で考えていたらしい。

  

「隠しダンジョンどうしましょう? このまま削除ですか?」

「いやたったひとりとは言え、プレイヤーが接続しているんだ、だめに決まってる」


 新人スタッフが口をへの字に曲げた。顔つきが天気みたくぱっと変わり、何か言いたげのようだ。


「――こんな隠しダンジョンどうして、石田先輩は公開しなかったんでしょうか?」

「だよな。一見すると、この隠しダンジョン。とくに問題がなさそうなマップだし」

「ですよねー。たしかに未確認事象が起こるし、安定しないとは思うんですが。ゲーマーとしてわくわくはしますよ」


 ベテランスタッフが眉間に皺を寄せて、目を細めた。


「ただ、この〈ライデン〉というユーザーは、どうやって隠しダンジョンに入ったんだ?」

「もうすこしプレイログを見てみましょう、なにか見つかるかもしれませんし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。