024 探し人は銭湯で見つけられる
魔王を倒して少女に変化していた元男勇者のドタバタときどきラブコメディー
ルスタの申し出に誘われて、外出先から遅めに帰ってきたシエルとエンリカは、旅装束を解いて後から向かうことをライナとハルカに伝え、一足先に二人を食堂へと向かわせることにした。
「少し遅れていくから~、二人はさきに行っていて食べていてね~」
「それなら食堂へいってくるさ。ハルカ、早ういこうだに!」
「この片付け物にちょっと時間がかかるから、ライナは先に行っていていいよ」
ハルカは部屋の中で広げられていた、回復士の教材やテキスト関係書を片付けていた。
「うーんそっかあ、、、ならさきにいってるだよ!」
一日の運動総量でいえば、四人のうちで一番消費量が大きいのはライナだ。すでにお腹を空かせていたライナが、他の三人をゆっくりと待っているといった選択肢はなかった。
ライナは部屋を飛び出すと階下を降りて食堂へ飛び込み、いつものテーブルの席に腰を掛けた。そこでガツガツムシャムシャと、勢いよく食べ始めたライナはようやくに人心地をつくと、隣のテーブルを見やって、新しく知り合いになった食事中の二人組へ声をかけた。
「どうだあ、ここさ気に入ったかや?」
「あら先ほどは。こちらを紹介してもらってありがとうございました。おかげ様で助かりましたわ。お部屋もお食事も満足ですのよ」
「でふね。モグモグ、ご飯もとても、おいしいれふよ~。ニシシッ」
「イデア、食事中のお喋りははしたないと何度も申したはずでしょ、ほんとにもう」
「ンッグッグ。、、、ハイ、スミマセンでした、リズベル様」
「そういえばライナさん、私共は長旅でとても疲れていまして。重ね重ねのご迷惑をお掛けしますけど、この街の銭湯が何処にあるのか、ご存知なら教えていただいてもよろしいかしら?」
ちょうど食事も終えたというところだったのだろうか、リズベルはナプキンを置いてそう質問した。
「んん? あーそんなのはすぐわかるだよ」
ライナはリズベルの手首をすぐに掴むと、玄関の外へと一緒に出ていった。イデアもすぐに終わったのか、それに続いて食堂を後にした。
「あのな、そっちさ曲がってから大通りに出たら、、、」
☆
「おまたせだよ~って、あら? ラーイーナちゃ~ん?」
「あの食いしん坊のライナがここにいないなんてとてもおかしいわね?」
「あれ、ライナが玄関の方からやってきた。なにか用事があったの?」
「ちょっことさ道さ案内をしていただよ」
「ああ、今日ライナに話しかけてきたってゆう、新しい人のこと?」
「そうだに。銭湯の場所さわかんねえってゆうから、外さ出て道さ教えてただ」
「あたし達も食べてからその後に銭湯へ行くんだから、さっさと食べるわよ」
「そうね~お喋りはここまでにして、ご馳走をいただきましょう~」
こうして四人は揃って食事を取り始めたのであった。
☆
☆
☆
ここは銭湯のハルキ湯である。
俺はジュリアンが利用しているホテルの大浴場(貸切)を基本は毎日使っていいのだが、週に3度はこうしてシエルたちと銭湯へ通っているのである。お風呂好きな俺としては、機会が与えられるなら全て入りたいのだ。
「こらまたぁ~そっちはメでしょ~」
銭湯の入り口で、いつもの如く男湯のほうへ入ろうと試みたが、シエルに片腕を掴まれた。
「あんたってば、おかしな子ね。ここへくるたびにどうして男湯のほうへ入ろうとするわけ?」
「うーん、、、どちらでもいいかなって」
男湯にいるほうが、緊張しないでのんびりと落ち着けるから、とは言えないしなあ。
「はい? あんた、ここをよく読みなさいよ」
男湯と女湯で別れる入り口の前にはこう書かれていた。
"当店では10歳以上の方は、性別に適ったお風呂をご利用してください"
「ほら私って記憶喪失だから、まだ10歳じゃないのかもしれないし」
「それにしてもよ。いつもあたし達ときているんだから女湯でいいのよ。ほらほら、あきらめてこっちへきなさいってば」
エンリカもまたハルカの片腕を掴むと、二人はズルズルとハルカを女湯へ連行していった。
最近はこれをいつもの遊びと勘違いし始めたライナが、ハルカの背中を押す係りとなっていた。
「ほらほーら、いくだよ、そらいくだ~♪」
☆
脱衣場に入ってみると、そこには特大メロンを二つ持つ女が、もとい、ベンチには見知った女性が座って待っていた。ルスタの彼女になるステラである。
「まあ、ハルカちゃんじゃないの。あら皆さんもこんばんわ。ほんっと偶然よね、私もこれから入るところなのよ」
ステラはそう言うとベンチから立ち上がった。これをステラは偶然といっているが、待ち伏せしていたというべきだと思った。
「そちらはお姉さん? たしかシエルさんよね。ルスタが今日お会いしたとかで。私はルスタの彼女になるの。どうぞよろしくお願いしますね」
「ああ~ルスタさんの。こちらこそなのです~」
「シエルちゃんって呼んでもいいかしら? お噂のとおりに優しげで可愛いって聞いていたけど、本当にそのとおりなのね」
「好きなように呼んでもらってけっこうですよ~」
「そう? ならそう呼ばせてもらっちゃうわね♪」
こんな具合に、ステラとシエルの会話はポンポンと続いていた。
ステラがこっちへいらっしゃいと手招きをすると、シエルはステラの隣側に立ち、そこで着替えを始めながら会話を続けていた。すでにもうすっかりと打ち解けあっている雰囲気だ。シエルに連行されていた俺はここでやっと手を離された。
「きょーはな、あたいよりも二歳年上で背の高い男の子と対戦したんだけどよ、体が大きな割に肝っ玉が小さくて、あたいが、、、」
手が離されるとそこにライナが割り込んできて着替えを始めた。着替えるときのフォーメーションはいつもこんなかんじであった。
「うううっ、、、あたしだってまだ、成長期だもん、、、」
シエルと反対側の俺の隣にいたエンリカが、ステラの特大メロンのほうを見て意気消沈をしていた。なにか独り言を言っているが、隣にいるライナの地声が大きくてよく聞き取れなかった。
「ハルカちゃんはとっても白い肌なのね。すごく綺麗だわ~」
エンリカのほうに気を取られていたら、すっかりと脱ぎ終えているステラが、いつの間にか俺のすぐ横に移動していて、そこで中腰になってこちらを見ていた。
この姿勢になると重力が働く関係で、元々凶悪過ぎるステラの胸が、ますます巨大にみえてしまう。さらに揺れ方も弾力性が高いのでものすごいものがあった。
「ジュリアンからデュフフって声が出ていた原因はこれか」
この場面でなぜだか頭のほうに浮かんできたのは、都市長室でこのデカメロンを頭に載せていてだらしのない笑みを浮かべていたジュリアンの顔だった。
これは仕方が無いと思うのと同時に、俺はどの程度まで成長ができるのだろうか、というおかしな対抗心を芽生えさせていた。ツルペタのこのボディはまだお子様同然だった。
そう言ってステラの巨乳を見てから自分のボディを見ていると、それを聞き逃さずにいたステラは、
「ハルカちゃん、ごめんなさい! あの時のことは謝ります! ジュリアン王子が好きなら、このお姉さんがぜひ協力するから! だからこの前のことは許してください! これからは仲良くしましょうね!」
ステラはそういうと、その姿勢からそのまま抱きついてきたので、俺の顔はすっぽりと二つの巨大なメロンの間に挟まれてしまった。しかもホールドロックをしてきたので、巨乳の密着度がとても高かった。
ヤバイ! 息ができねー!
「なんかとても苦しそうに手足をバタバタしてるけど大丈夫?」
その様子を見ていたエンリカが助け舟をだすと、それに気づいたステラが力を弱めてくれたので、それでようやく息を吸うことができた。
恐るべし巨乳!!
「あたいのかーちゃんもおんなじくらい大きいわさ。あれで苦しくなる気持ちはよくわかるだよ」
それを見ていたライナが、自分の体験を思い出したのかそういって慰めてくれた。ってゆうかライナは、いまの言質からして、将来は有望株になる可能性があるみたいだ。
☆
「ふぅ~、とてもいい気持ちですわ」
「本当ですね。五日間を乗合馬車の硬い椅子で我慢していた体中の痛みが、これで消えていくようですぅ~」
「それにしても、、、」
リズベルは横目でイデアを見ていた。いや正確には湯船に浮かんでいるイデアの巨乳を。
この子ってたしかまだ15歳よね。これでまだ成長を続ける気なのかしら。私だって普通並程度はあると自負をしてるけど、これと比べてしまうと、、、
「なんですかあリズベル様。お暗い顔をなさっていますよー」
「貴方のその胸は、いくつになっているのよ?」
「あーこれですかあ、肩が凝るんでもういらないってゆうか。ええっと、この前図ったときにはGとかいわれました」
!! 、、、ああ、シャリーナ様、この不公平さについて呪いの言葉を吐いてしまってもそれは許されますか!
ガラガラガラ
リズベルに黒い感情が沸き起ころうとした時、浴場へ入ってくる、元気な子供の声が響いてきた。
「ハルカがまた走って遠くへ行っちゃっただ」
「こらぁ~浴場でははしっちゃメ~だよぉ~」
「いつも必ず一番端っこで体を洗いたがるけど、なんでなのかしら?」
「おっし、かけっこならまけねーどー!!」
「こらぁ~真似しちゃだ~め~」
ピクリッ
「ねえイデア。いま"ハルカ"ってゆう単語が聞こえたのだけど、私の聞き間違いかしら?」
「私の耳にも聞こえていましたね~ 反響がすごいからよく聞き取れましたよ。ってリズベル様! "神々に愛、、"モガモゴッ」
「シッ! その言葉は不用意に使ってはいけないと、貴女には予めそう教えていたはずよ。、、、今二人で走っているのがそうなのかしら?」
「あれ? 追いかけているほうのあの子って、今日私達に宿屋を紹介してくれた子ですよ!」
「、、、間違いはなさそうね。それにしても1日目で見つけられたなんて。シャイーナ様にここで感謝を捧げましょう」
二人は湯船の中で両肘を折ってから祈る姿勢に変わった。先ほどまで呪いの言葉を出そうになったことはどうやら引っ込められたようだ。
☆
「どうハルカちゃん、そちらも洗うから遠慮なくいってね」
断っているのにどうしても、と付きまとわれてどうぞ、というしかなくなってしまったハルカは、ステラの要望を受け入れる形になったことで、こうして背中を流されることになった。
「そういえば、ルスタさんの従者の復職、おめでとうございます」
「ありがとうね。ハルカちゃんのおかげになるのかな。っとにアイツがこちらに来てから無位無官の無職を知ったときには私も弱っちゃってさ。最近は路銀も底をついてたから困っていたのよ」
俺のおかげと言ったけど、ルスタさんの復職と俺の結びつきはまだ謎なんだけど。
これは聞いてもいいのかな?
「ステラさん、今言っていた」
「ごめんなさい。失礼をいたしますわね」
俺が思っていた疑問をステラさんに投げかけようとしたときに、ちょうど間に入った声が聞こえた。
作品をお気に召して頂きましたなら、下記の評価にあります(☆☆☆☆☆)をポチりと推してくださいませ。ブックマーク評価も受け付けています。評価は作者のエネルギーとなります。




