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第42話 出張編(完)

いよいよだ…

いよいよ、今日、雫が帰ってくる。


電話をしながら、二人とも気づいたら寝てしまっていた。

雫は俺より早く起き、先に残りの打ち合わせに行った。そして、打ち合わせ後、すぐに新幹線に乗り、家に帰ると連絡があった。

一刻も早く雫に会いたかったので、駅まで迎えに行くと伝えたが、


『和樹くんの事を思いながら、帰るの結構好きだから、家で私の帰りを待ってて』


と、言われた。


まぁでも確かに待てば待つほど、嬉しくなるのは俺にも分かる。

とりあえず、仕事をさっさと終わらせて、ただひたすら待つ。


一瞬すらも長く感じられる、この時間は好きであり嫌いだ。

もうすぐしたら、大切な人に会える喜びと、もし、その道筋で不幸な事故に遭い、二度と会えなくなってしまったと良かぬ考えも頭を横切る。

俺はたったの2日でこんな悲しくなって、自分はまだまだ弱い存在なんだと改めて気付かされる。世の中には戦場など、帰らぬ人になる確率が極めて高い個所に行き、待っている人々も大勢いる。普段のニュースでまるで他人事のように見て、心の中で少しばかりの同情を沸かせ、それで自分を満足していた。


「誰だって、一人は寂しいもんな…」



ピンポーン、



「あ、」


考える前に俺の体は動いていた。

向かうは玄関のみ。急いで鍵を開けると、





「ただいま、和樹くん」


そこには紛れもない、俺にとって世界で一番大切な人がまるで女神のような優しい笑顔で立っていた。


「お、おかえり、雫…」


ポロ、


ふと、視界がぼやける。もっと雫の姿を見たいのにまるで海の中に投げ込まれたかのようによく見えない。

引っ込め俺の涙。これ以上、雫に心配かけるな。

頼むから今だけは…我慢してくれ。



「ご、ごめん、雫…情けないよな、昨日も泣いて、そんでもって今日もなんて、あはは、、」

「……」

「ちょ、ちょっとトイレにいって、顔洗ってくるわ…」


「和樹くん!」


ガチャン、

ドバッ、


「うわっ!」


玄関の閉まる音のみが耳に入った。

その直後は雫がいきなり抱きついてきて、そのまま廊下に倒れ込む。


「し、雫?…」


俺の首に顔埋めて、何も言わない。


スンスン、


「和樹くんの匂い…」

「え?」

「情けなくないよ…和樹くんが泣いて、情けなかったら、私はどうなのさ?…」


雫の体は震えていた。耳元では鼻をすする音も聞こえる。


そっか、雫も俺と同じ気持ちだったんだ。


「ありがとう、雫」

「うん、もっとぎゅーってして」


俺はこの二日間出来なかった分、力いっぱい雫を抱きしめたし、その力に負けないくらい雫もまた俺を目一杯抱きしめてくれた。

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