第25話 耳かき…してあげよっか?
投稿遅れてすみません!今週色々と忙しくって書けれる時間があまり取れませんでした…土曜日からはいつもの生活に戻ると思うので少々お待ちください。
「は〜、今日は流石に疲れたなぁ」
午後5時半の平日。仕事が終わり、会社を出る俺。無意識に声が出てしまう程疲れている。今日は普通の日よりも終わらせなきゃいけない案件や目を通さなければいけない物が山のようにあったのだ。こんなにも疲れたのは久しぶりだ。
普段だったら会社から家までそんなに時間はかからないが、今日ばかりは凄く長く感じる…一歩一歩が重い。今にも倒れそうだ。だが、倒れるわけにはいかない。なぜなら家で俺の帰りを待ってくれている人がいるからだ。その人を見たらこの疲れも吹っ飛ぶ事を信じて、俺は家までの長い長い道を歩いた。
「やっと…着いた…」
見慣れたドアの前に俺は長旅から帰ってきたかのような達成感が湧いてきた。もう、倒れそうだ…早く彼女の顔が見たい…インターホンのボタンを弱々しく押す。
ピンポーン
ガチャ、
「おかえり、和樹くん。お疲れ様」
「ただいま、雫」
あぁ…雫だ。そこには俺の彼女、雪森雫が笑顔で出迎えてくれる。彼女の顔を見ただけでも今日一頑張って良かったと思える。
「疲れた、和樹くん?」
「うん、ちょっとね…」
「だよね、顔見たらすぐに分かるよ」
さすが雫だ。出会った時から彼女は俺の事は全てお見通しなのだ。その優しさに何度救われている事やら。
「じゃあ、先にお風呂済まれておいで」
「うん、そうするよ…」
そう言い、俺は風呂場へと向かった。雫が毎日お湯を溜めてくれているのですぐさま入れる。いつもなら15分くらい入っているが今日は体を軽く洗い、5分くらい風呂に浸かり、上がった。今日は…雫といたい。
「あれ。もうお風呂済んだの、和樹くん?」
リビングに行くと雫がそう聞いていた。まぁ誰しもこんなにも早く風呂から上がったらなぜかと思うはずだよな。
「うん…」
「じゃあ、ご飯食べる?」
「……」
俺はその質問には答えなかった。正直今日は空腹よりも…
「どうしたの?」
「い、いや、その、、」
「な〜に?お姉さんになんでも言ってごらん」
「そ、その、今日はあんまりお腹空いてなくって、それよりも…」
「あー分かった。和樹くん、今日は疲れたからお姉さんに甘えたいんだね?」
「う、うん」
「ふふ、ちょっと待っててね」
すると彼女はテーブルに並んであったご飯たちをジップロックに入れ始めた。そして、全てほんの数分で入れ終わると彼女は着ていたエプロンを脱ぎ、ソファーに腰かけた。
「はい。和樹くん、こっちおいで」
いつもならここでちょっとためらうのだが、今日はそんな事をやっている余裕はない。素直に雫の隣に座る。
すると彼女は上半身のみを俺の方へ向け、
「それじゃ、初めにお姉さんが和樹くんをぎゅーってします」
雫は両手を開いて続けた。
「それでは和樹くん?お姉さんのところまで来れるかな?」
いつも以上に子供扱いしてるが、早く彼女と暖かいハグがしたい…
俺が雫の手の中へと身を委ねた。
「はい、ぎゅー♡」
そう、これだ。俺が一番落ち着ける唯一の居場所。凄くあったかくって、良い匂いで胸の膨らみのおかげで凄く柔らかく心地良い。
「どう?落ち着く?」
「うん…」
彼女の声すらも安らぎに思える。
「ふー」
「んっん…!」
耳にくすぐったい風が当たって、俺は少し体がびくついた。
「あはは、今ビックってなった?和樹くん、耳弱いもんね?ふー」
「や、やめて…くすぐったい」
「えへへ。ごめんね。和樹くんがあまりにも可愛いから。お詫びに耳かきしてあげるね」
そう言い、彼女は俺から離れて、ゆっくりと俺の顔を彼女の膝に乗せる。そして、一体どこに隠していたのか耳かき棒を取り出した。
「始めるね?痛かったら、言ってね?」
「うん…」
そうは言ったが、雫の耳かきで痛かった事は一度たりとも無かった。のでその心配はない。
「それじゃ、耳かき棒、和樹くんのお耳に入れるね」
ガサガサ、
耳に耳かき棒が入ってくるのがすぐに分かる。凄くくすぐったいが謎に嫌ではない。耳かきの不思議なところだ。
「カキカキ、こしょこしょ」
耳かきにそんな事は言わなくっても良いのに雫はずっとそう言っている。今どき流行りのASMRという物か。でもそれも不思議と邪魔じゃない。むしろ、雫の優しい声と共に耳かきもされて夢心地だ。
「もしかして、うるさかった?それとも、これ好き?」
「好き…続けて…」
「良いよ。和樹くんのためならなんでも」
「カキカキ。こしょこしょ」「カキカキ。こちょこちょ」
数分後には俺は正しく夢の中にいた。




