第16話 引っ越しの挨拶(2)
「和樹くん、あ〜ん♡」
「あ、あ〜ん」
パクッ
「よしよし、ちゃんと食べたねー」
いや、俺は赤ん坊か。って言っても過言じゃないくらい、『雫』はあの日以来、俺を今まで以上に甘やかすようになった。まあ、嫌じゃないけど…
「てか、やっぱり隣に座るんだね」
「もちろん、和樹くんの隣以外ありえないもん」
いつも通りの雫に戻っていて、どこかほっとする。
雫がご飯を作り、一緒に食べてから、一緒に皿を洗い、ソファーでゲームしたり、アニメ見たりするのがもう日常だ。
皿を洗い、ソファーにて。
「ねぇ、和樹くん」
「なに、雫?」
俺の肩に頭を乗せてる、雫。
「えへへ、名前で呼んでくれた」
名前を呼んでもらって、嬉しいそうな雫も可愛い。
「じゃなくって、え、えーっとね、その、、」
俺の肩から少し離れ、モジモジしながら言ってきた。
「ん?どうした?」
「そ、その、もし、もしだよ?和樹くんが嫌じゃなかったら、一緒にここにす…ない?…」
小声すぎて、重要なところが聞こえない。
「え、なんて?」
「だ、だから、和樹くんが良いんなら、一緒にここに住まない?」
「え」
急なカミングアウトに俺はビックリした。た、確かに、隣だし同棲した方が良いんじゃね?とは思ったけど、まさか、雫からそう言ってくれるとは…
「そ、その、分かってるよ、付き合ったのもたったの3話前だし、で、でも、読者の皆さんはきっと、こういう展開を待ってたと思うの!ここで二人の距離がもっと近づいて、和樹くんをもっと甘やかせるし!」
「は?3話前?読者?なんの事?…」
「あっ、ううん!なんでもない!とりあえず、一緒に住みたいの、お姉さんが!」
一瞬なんの話をしてるのか分からなかったが、雫が一緒に住みたいって言う気持ちは分かった。
「俺は良いけど、雫は本当に良いの?その、俺とずっと一緒でも?」
「もちろん!今まで和樹くんと過ごしてたら、もっと居たい!って思ったもん!」
「和樹くんはお姉さんとは嫌?」
だから、その顔は可愛すぎるって、、
「い、いや、俺はむしろそっちの方がいいかな?…」
「うん、素直な子はお姉さん、好きだよ」
「す、『好き』だけ?」
初めて、ちょっと拗ねてみた。さ、さあ、雫はどんな反応をーー
「もー、可愛すぎる!和樹くん、大好きだよ!ぎゅー!」
「ちょっと!く、苦しい…」
そんなこんなで隣から隣への引っ越しが決まった。
すぐ隣なので、引っ越し業者は頼らずに自分らで荷物とかを移動させた。土日に二人で始めたが、雫が土日にまで荷物なんかをまとめていたため、結構は早く進んでいた。
「あっ、和樹くん、ちょっとこっちに来て」
「え、うん」
と言われて、雫の家に入り、ある部屋に案内された。
「ごめんね、隠しつもりは無かったんだけど…言い出すタイミングが無くって…」
と言いながら、案内された部屋の扉を開ける雫。
ガチャ、
「こ、これは…!」
そこで俺が目にした物はと言うと、仕事部屋らしいが、そこにはデスクにパソコン、そこまでは良かったが、そのデスクはL字型で横の方には、大きいペンタブが置いてある。そしてなり、
近くには俺の好きなラノベ『学校ではオタクキモいって言ってくるクーデレ幼馴染が家でもキモいって言うけど、その分のデレた時は宇宙一可愛いのだが』の本が置いてある。
「こ、これって?」
「そ、そうなの、私、ドロップレットって言うイラストレーターなの」
「え、で、でもドロップレット先生は男性だって、、」
「あれは嘘よ。女だって言ったら絶対、男たちが寄ってくるもん。そんなの和樹くんだって嫌でしょう?」
「た、確かに…でもまだ、ちょっと信じられないなぁ、」
「まあ、確かにね。じゃ、見てて」
「?」
雫は椅子に座り、ペンタブを起動し、ペンでなにかを描き始めた。
ものの5分で、
「こ、これは!」
「そう、『学校ではオタクキモいって言ってくるクーデレ幼馴染が家でもキモいって言うけど、その分のデレた時は宇宙一可愛いのだが』のー」
「あ、あの、長いので略の方でいいよ…」
「そう?じゃ、『クーデレがデレた時』に出てくる、恵ちゃんよ」
「ほ、本物だ…!」
「信じてもらえた?」
「え、だって雫は英語でDropletだもん」
「あ、深い意味はないのね、」
そんな事で雫からの急なカミングアウトパート2があったが、別に俺は気にしない。むしろ、好きなイラストレーターがまさか自分の彼女だなんて、嬉しくないわけがない。てか、これで雫の家での仕事が明らかになった。
雫の仕事デスクは俺の仕事部屋に置いた。広い部屋だし、仕事中でも俺を甘やかしたい、と雫が提案してきた。仕事中にどうやって甘やかすんね。
二日で引っ越しの作業は終わった。
「よし、一通り終わったし、ちょっと休憩するか」
荷物も全部運び、玄関の前で俺は言った。
「うん、そうだね」
ガチャ、と雫が玄関のドアを閉めたら、
「あ、そうだ!」
何か思い出したかように声を上げる。
俺は彼女の方へ振り向くと、
「隣から引っ越してきました。雪森雫でしゅ!」
「や、やめて、それ、結構恥ずかしかったんだから…」
俺がここに引っ越してきた時の真似をする雫。
「これからよろしくお願いします!後、これ、つまらない物ですが!」
と、俺の方に体を突き出す。
「うん?」
「もー、察しが悪いなぁ。引っ越してきたから、お姉さんは和樹くんの物って事!分かったら、早くぎゅーってして」
「はは、つまらない物なんかじゃないよ」
と、言って俺は雫を優しく抱きしめた。
こんにちは、こんばんは、青空零です〜
今回も「誰もそばにいない?お姉さんがいるじゃない、甘えたっていいんだよ?」ご愛読ありがとうございます。
ついに同棲スタートですね!!これでやっと、もっとイチャイチャが書ける!今後も楽しみにしてて下さいね!
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