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権限至上主義:世界がどうなろうと知ったことか  作者: biyaozhie


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13/15

新人は新装備

湮甦・球湖支部所属。


資源運用都市メテラス。


地下行政ホール。


刑尚遠は極天をここまで送り届けると、一足先に立ち去っていった。


ホールはかなり広い。


だが、人影はそれほど多くない。


正面を見ると、百メートルほど先に業務受付のカウンターが並んでいる。


番号は一番から三十番まで。


左側の壁には、上へ開くタイプの金属扉がずらりと並び、入口付近まで続いていた。


扉の上にあるディスプレイには、


【配給室】


と表示されている。


極天はそのまま奥へ進んだ。


少し進むと、右側に数十人が並んで歩けそうなほど広い通路が現れる。


数十メートル先には改札ゲートが並び、まばらに人が通過している。


さらに奥へ視線を向ける。


意識リンクで映像を拡大すると、二つの階段が見えた。


一つは上へ。


もう一つは下へ。


それぞれの入口には、乗り物を示すアイコンが表示されている。


上へ向かうのは主に航空輸送。


下へ向かうのは軌道交通らしい。


極天は視線を戻し、さらに先へ進む。


次第に人の数が増えていった。


そして――


ホールのあちこちに、緋紅鈴の姿があった。


彼女は様々な人のそばに現れては、仕事を手伝っている。


左側。


緋紅鈴が腰に手を当て、小柄な男を指差している。


「ちょっとちょっと、あんた大丈夫なの?」


少し先。


緋紅鈴がパチパチと拍手している。


「うんうん。今回はそんなに死ななかったね」


右側。


緋紅鈴が呆然とした顔で、頭の上に手のひらサイズの円錐形マーカーを乗せた三人を見ている。


「えー?」


「何? あなたたち精鋭部隊が、犬一匹にやられたって?」


極天は周囲を見回しながら、さらに奥へ進む。


突然――


バッ!


目の前に鬼の顔がぶら下がってきた。


「うわっ!」


緋紅鈴だった。


彼女は空中から逆さまにぶら下がり、両手を鉤爪のように構えて、極天を驚かせようとしている。


極天の足が止まる。


緋紅鈴は空中で身体をくるりと反転させ、そのままゆっくりと降りてきた。


そして極天の隣へ並び、一緒に歩き始める。


しばらく歩いていると、緋紅鈴が極天の右側からひょこっと顔を出した。


見上げる。


「さっきからキョロキョロしてるね」


そう言うと、タタタッと数歩走って極天の前へ回り込む。


「もしかして……嫉妬してる?」


「……?」


極天の足が再び止まる。


緋紅鈴は背中で手を組み、目を閉じ、胸を張った。


顔には満面の自信。


「まあ、そう考えるのも無理ないよね」


「だって私、こんなに美人で可愛くて――」


両手で頬を包む。


「それなのに専属じゃないなんて」


首を横に振る。


「そりゃもう――残念すぎるよね」


極天は無言で彼女の横を通り過ぎた。


そして十五番窓口の前まで行き、腰を下ろす。


すると、背後にいた緋紅鈴の姿が一瞬で消えた。


次の瞬間。


窓口の内側に座っていた。


満面の笑みを浮かべている。


「こんにちはー」


「今日はどんなご用件でしょうか?」


「緋紅鈴」


「ん?」


「任務の最後に逃げた奴は誰だ?」


「刑主管はどうして手を出さなかった?」


「ああ、あれ?」


緋紅鈴は少し考える。


「たぶん刑尚遠が何か変なことを考えてて、気が散ってたんじゃない?」


「逃げた奴については――」


「私の計算資源を使うほどの価値はないかな」


そう言って、少しだけ顔を近づける。


「でも、そいつの住所なら知ってるよ」


「資源配額をくれたら教えてあげる」


極天はしばらく黙った。


緋紅鈴が続ける。


「まあ、それはまた後の話」


「まずは今回の任務報酬を精算しようか」


極天の視界に情報ウィンドウが展開された。


【湮甦・球湖支部・保安部・通常外勤任務】


【完了】


【資源配額:170単位】


【支給済み】


【現在の資源配額:170単位】


極天は画面を閉じる。


「荷物が届いていないなら、任務失敗じゃないのか?」


「そんなことないよ」


「届けるべきものは、ちゃんと別の人が届けたからね」


「つまり――」


「俺は囮だったわけか」


緋紅鈴が手をひらひらと振る。


「いやいや、そんなことないって」


「極天は私の優秀な社員として、見事に戦術的援護を果たしたんだよ」


「だから特別ボーナスも追加で支給してあげる」


極天はしばらく待った。


だが、意識リンクには何の通知も表示されない。


「何も届いていないが」


緋紅鈴は手を上げ、極天の腰に掛かっているクッションを指差した。


極天はクッションを取り外し、手で探る。


そして中から――


手のひらにぴったり収まる、握り心地のいい「大きなダイヤル」を取り出した。


極天はそれを握る。


人差し指と中指が、自然とダイヤルにある二つの溝へ入り込む。


その溝の底には、二つのボタンがあった。


極天は緋紅鈴を見る。


「これは何だ?」


「『階梯』薬剤」


緋紅鈴は少し考える。


「昔、一度は開発を打ち切られたものだよ」


緋紅鈴が言い終わる前に、極天の視界へ通知が表示された。


【受信:階梯薬剤・携帯版・使用説明書】


緋紅鈴は続ける。


「でも、ある頑固者のせいで、また発展することになったの」


人差し指を立てる。


「その一人のために生産ラインを再稼働させたって言っても、言い過ぎじゃないくらい」


極天が反射的に尋ねる。


「誰だ?」


「今のあなたのデータ権限じゃ、まだ見られないね」


「だったら――」


「申請してみる?」


「それで資源配額をちょっと使ってくれたら、私が承認してあげる」


極天は軽く首を横に振った。


「いい」


「今の俺にとって、その人物を知ることに大した意味はない」


そして、ふと思いついたように続ける。


「データ権限が十分に高ければ――」


「孤児院と、俺の感情モジュールに関する情報も知ることができるのか?」


「たぶんね」


……たぶん、か。


極天は決めた。


「戦闘権限を申請する」


「了解!」


「ご利用ありがとうございます。資源配額100単位を頂戴します!」


【権限昇格申請】


【申請項目:戦闘権限 L1】


【承認機関:湮甦・球湖支部】


【承認者:緋紅鈴】


【承認消費:資源配額100単位】


【緋紅鈴が申請を承認しました】


――――


【氏名:極天】


【意識タイプ:本体意識】


【所属機関:湮甦】


【所属支部:球湖支部】


【所属部署:保安部】


【役職:一般保安】


【社員番号:015】


――――


【行政権限:L0】


【データ権限:L0】


【研究権限:L0】


【保安権限:L1】


【戦闘権限:L1】


【指揮権限:L0】


――――


【武器棟への立ち入りが許可されました】


【許可階層:一階】


【購入可能装備一覧】


・補助カテゴリー


・防護カテゴリー


・主武器カテゴリー


・副武器カテゴリー


・近接カテゴリー


・非致死カテゴリー


・義体カテゴリー


・特殊カテゴリー


――――


【現在の資源配額に基づく最適構成を推奨】


・レールガン・ピストル


・衝撃ナイフ


・運動エネルギー緩衝戦闘服(軽量型)


【予想消費:68単位】


――――


【購入しますか?】


極天はざっと装備一覧に目を通した。


価格と性能の両方を考慮しても、これ以上の組み合わせはなさそうだった。


【はい】


【購入を確定しました】


【配給待機中……】


【後ほど配給室にて受け取ってください】


極天は画面を閉じる。


緋紅鈴が小さな手を叩いた。


嬉しそうな顔をしている。


「極天、新しい権限の取得おめでとう!」


「上司である私は――」


「君に一回、低級生体義体改造をプレゼントしよう!」


極天が口を開くより先に、意識リンクへ通知が表示された。


【装備の配送が完了しました――3号配給室】


視界に表示された経路案内に従い、極天は左側の壁に並ぶ配給室へ目を向ける。


緋紅鈴が急かす。


「先に装備を受け取ってきて」


「終わったら、改造室までのルートを送るから」


「分かった」


極天は番号を確認し、3号配給室の前まで歩いていく。


【3号配給室・保安部・015・受け取り待ち】


金属扉が上へスライドする。


極天は中へ入った。


中はそれほど広くない。


普通のリビングほどの広さだ。


中央にはテーブルと椅子。


その上には、閉じた状態の正方形の搬入口がある。


そこから細いレールの一部が伸び、天井へと続いていた。


さらに奥へ数歩進む。


右側にはトイレとシャワールーム。


極天はテーブルの前まで行き、上に置かれたケースを開く。


中身を簡単に確認してから閉じ、ケースを持ち上げた。


そして、一番奥へ視線を向ける。


そこには寝室ほどの大きさがある金属扉。


その上には、七、八平方メートルほどの正方形の搬入口が開いている。


どうやら大型装備を投下するためのものらしい。


その時。


意識リンクに新たな通知が表示された。


【緋紅鈴:生体義体改造室――経路案内】


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