↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
権限至上主義:世界がどうなろうと知ったことか  作者: biyaozhie


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/14

肉体強化

【目的地:生体義体改造室】


【経路を設定しました】


【ナビゲーションを開始します】


極天はナビゲーションに従い、空中軌道列車に乗り、生体義体改造室へ向かった。


中へ入る。


左右の壁には改造カプセルが一列ずつ埋め込まれており、壁一面を埋め尽くしていた。


そして中央の操作台では、緋紅鈴が手を振っている。


「極天、極天! こっちこっち!」


そう言った直後、右側の壁から一台の改造カプセルがせり出してきた。


レールに沿って、ゆっくりと下降してくる。


極天は改造カプセルの前まで歩いた。


カプセルに灯りが点く。


システムが自己診断を開始する。


内部では複数の機械アームやセンサーが動き始め、掴む、移動する、回転する。


それぞれが順番に各種テストを行っていく。


極天が振り返る。


「どこを改造する?」


「低級の生体改造ね。えーっと……」


「送るね」


【生体義体改造カプセル】


【改造対象:極天】


【現在の改造段階:記録なし】


――――


【今回の改造設定】


【目標段階:低級・第一段階改造】


【改造項目:筋繊維強化】


【改造効果:筋肉の瞬発力を強化、筋肉損耗を軽減】


【副作用:生体義体のメンテナンス頻度がわずかに増加】


――――


極天は内容を何度か確認した。


そして服を脱ぎ、カプセルの中へ入って横になる。


耳元で緋紅鈴の声が響いた。


「いい子だから大人しく寝ててねー」


「これからマッサージするから」


カプセルの扉がゆっくり閉じていく。


麻酔ガスが放出される。


同時に、淡い青色の修復液が素早くカプセル内へ注入されていく。


極天の呼吸が徐々に穏やかになる。


液体が頭部を覆うより前に、胸の上下運動はすでに止まっていた。


身体が液体の中で浮き上がる。


カプセル中央へと浮遊した極天の身体を、底部からせり上がった金属製の「脊椎」が固定する。


極天の意識は、深い眠りへ落ちていった。


――――


カプセル外。


操作台のモニターに、無数のパラメータが流れ始める。


【運動神経インターフェース校正】


……


【神経信号スキャン開始】


神経信号がシステムによって読み取られた、その瞬間。


極天の意識の中を、断片的な記憶が高速で駆け抜けた。


――――


「僕の名前は極天。七歳」


小さな少年が、何の表情も浮かべず、教室の教壇の前に静かに立っている。


その時。


教室の中から一人の少年が飛び上がった。


「やった!」


「今日からお前は俺の弟な!」


まだ映像が消えきらないうちに、残像が次の光景を引きずり出す。


――――


人混みの中へ、ランドセルが叩き込まれる。


「俺の弟に手ぇ出したな!」


季平が人混みの中で、ランドセルをめちゃくちゃに振り回している。


怒鳴り声が飛び交う。


拳が振り下ろされる。


映像が砕け散る。


――――


舷窓の外。


広大な宇宙が広がっている。


無数の星々が輝いている。


幼い少年が誰かにぶつかった。


赤ワインが顔にかかる。


顔の半分が赤く染まった。


一人の男が腰を屈め、少年の顔を拭ってやる。


「大丈夫か、坊や」


男の動きが突然止まった。


「子供……」


「成長……」


「育成……」


男の瞳に、熱烈な光が宿る。


そして少年の視線は、男の襟元へ向かっていた。


そこには――


湮甦の紋章。


映像が砕ける。


――――


炎。


黒煙。


孤児院が燃えている。


院長のおばさんが本棚の下に倒れている。


炎の中で、彼女は微笑んでいた。


季平が必死に極天の腕を掴んでいる。


天井が崩れ落ちる。


世界が炎に飲み込まれていく。


――――


どうして。


どうして。


どうして――


黒闇が、目の前のすべてを徐々に飲み込んでいく。


――――


カプセル外。


操作台のモニター。


【神経信号、安定化開始】


【改造プログラム起動】


数十本ものデータストリームが、画面上を高速で流れていく。


改造システムの監視画面。


そこには、極天の身体が一瞬で構造モデルへ変換されていく様子が映し出されていた。


皮膚層。


筋肉層。


神経束層。


骨格構造。


人体を構成する各組織が次々と解析され、展開される。


そして仮想空間に浮かび上がった人体モデル。


無数の小さな三角形のマーカーが点灯する。


【対象構造をロック:筋繊維】


【微細構造の強化を開始】


――――


改造カプセル内部。


数百本ものプローブが、極天の周囲と背中からゆっくりと接近する。


だが、皮膚へ突き刺さることはない。


身体の表面ギリギリで停止する。


続いて、極細のナノニードルが規則正しく展開されていく。


――――


システム視点。


極天の筋繊維が、顕微鏡レベルまで拡大される。


規則正しく並んでいた筋束が、少しずつ再構築されていく。


編み直される。


【筋肉強化進行度:3%】


【筋肉強化進行度:7%】


【筋肉強化進行度:12%】


カプセル内は静まり返っている。


その一方で、カプセル外のモニターにはデータが絶え間なく流れ続けていた。


……


――――


長い時間が経った。


極天はゆっくりと目を開いた。


呼吸が少し重い。


「お、起きた?」


緋紅鈴がガラス越しに顔を覗かせている。


「手術、大成功だよ」


極天の眼球がわずかに動く。


周囲を確認しているようだった。


緋紅鈴は極天に異常がないことを確認すると、カプセル内の修復液を一気に排出する。


扉が開く。


極天は腕を上げ、手を握りしめた。


筋肉が収縮する感覚が、以前よりはっきりと伝わってくる。


「どれくらい経った?」


緋紅鈴は指を折りながら数える。


そして最後に指を二本立てた。


「二時間くらいかな」


極天は立ち上がり、カプセルの外へ出る。


そして服を着た。


緋紅鈴は目を覆っていた両手を下ろし、極天を急かす。


「よし、こっちはだいたい終わり!」


「早く装備を試してきて」


極天は軽く頷いた。


「分かった」


――――


極天は訓練棟へ向かった。


射撃場へ入る。


射撃ブース前のテーブルに置かれたケースを開き、中からレールガン・ピストルを取り出す。


手に持ち、細部をじっくりと確認する。


【レールガン・ピストル使用方法――インストール済み】


弾薬を装填。


マガジンを差し込む。


【武器認証完了】


【使用者を登録】


拳銃から短い振動が伝わってくる。


【武器ロック解除】


極天は顔を上げ、前方を見る。


【中級・第一段階射撃訓練を選択】


選択が完了した瞬間。


遠方から大量のターゲットが高速で飛び出してきた。


上下。


左右。


あらゆる方向。


よく見ると――


緋紅鈴のデフォルメされた顔だった。


怒り顔で試験表を持ち、あちこちを飛び回っている。


極天が引き金を引く。


シュッ。


二発の弾丸が飛ぶ。


音は小さい。


【弾数:18/20】


シュッ。


シュシュシュシュッ。


連続して放たれた弾丸が、次々とターゲットを撃ち抜いていく。


極天は拳銃を下ろした。


目の前のテーブルに、緋紅鈴が姿を現す。


「基礎的な銃器操作をインストールしただけで、このレベル?」


「なんかさ……」


「インストールした瞬間、完全習得してない?」


緋紅鈴が少し間を置く。


そして極天へ顔を近づけた。


「アハハ!」


「もしかして、君もAIなんじゃない?」


「入力したもの、一切劣化しないじゃん」


極天は緋紅鈴のからかいを無視し、近接武器訓練室へ向かった。


相手はまたしても緋紅鈴。


ただし今回は、低級機械義体へ意識をロードしている。


手にはカッターナイフ。


そのまま極天へ向かって突き出してくる。


極天はその場から動かない。


静かに待つ。


二人の距離は一歩。


カッターナイフが心臓へ向かって一直線に迫る。


その瞬間。


極天の左手が跳ね上がった。


手首を掴む。


カッターナイフは、それ以上一寸たりとも進めなくなった。


右手がナイフを握る。


次の瞬間。


緋紅鈴の首元で、刃が一閃した。


彼女の身体が倒れる。


緋紅鈴は義体から抜け出し、自分の首元に残った切り傷を眺める。


「今回は、あんまり技を使わなかったね」


「ただ力任せに倒しただけじゃん」


彼女は極天を見る。


そして、何かを思い出したように口を開く。


「他の人は知らないけど――」


「たぶん項マネージャーは、君みたいなの好きだと思うよ」


緋紅鈴は声色を変え、中年男性の声を真似る。


「何が『倒せません』だぁ!?」


小さな手を振り、目を吊り上げる。


「だったら、数値が足りないに決まってるだろ!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。