道を拓く者
ユリウスがレオンに連れられ、サラディアに発った。
その頃グラニオスでは、ギルベルトが海沿いの領に缶詰工房を建て、クレスの職員が指導の為に派遣されていた。
タケシは、国の街道整備の進行状況を踏まえて、グラニオス州都グラスに、商会と馬車工房とクレスの出店を決め、街道沿いの道の駅設置場所の調査をし始めた。
「いたらうるさいけど、いないと寂しいなー」
アークが朝ごはんを食べながら呟いた。
「アイツうるさいか?」
「うん。イビキがね」
「ハハッ。疲れとったんちゃうか」
「そうだね。布団に潜ると即グガー。よく頑張ってたね」
「お前もやってみたら?キカンシャ」
「やだ。あんなに筋肉ついたら飛ぶ時重いし」
ビローンと翼を広げて見せた。
「いや、今飛んでないやろ」
「いつでも飛べるようにお手入れしてる」
「お手入れ大変だね。角とか羽根とか。パックもしてるやろ」
カツミがアークの角カバーをピッと外した。
「うん。ビジュ大事♪」
「アホくさ。まあすぐ帰ってくるからな」
「あのさ、タケシ.......」
「ん?」
「今やってるのが終わったら、僕多分一段落なんだ」
「あぁ、うまいこと行きそうか?」
「うん、カイル陛下の口添えでね、アルネシアの貴族が手を挙げてくれた。観光事業はあっちに移せる」
「そっか」
「終わったら、魔王国に帰ろうと思ってる」
「え?」
「うるさいんだよ.......許嫁がね」
「そんなんおったんや」
「エヘヘ」
「カツミさんいます?」
「ん?アキラか。何やそれ」
「フードプロセッサーっす。この紐引っ張って.....」
「何作るんやろ」
「さぁ?とりあえず試して欲しいんで」
「言うとくわ」
「あ、もうすぐ6号帰ってくるんですよね」
「うん」
「他のもんとスピードが違うって、みんな待ってますわ」
「ハハッ。交代でやってるんやろ?」
「専任置きたいなー」
「アホか、あの路線はタダ乗りやろ。自分らでやれ」
「ちぇー」
「タケシ、父上から手紙だ」
「んー。......お、魔導車メドついたんか......ふーん......」
「なんて?」
「アルネア側は街道沿いでレール敷けるけど、グラニオスは山が多いから、今整備してる街道ではちょい難しい......って」
「別ルートにするのかな」
「んで、来いってさ」
「ユリウスかな」
「そうやろな。今週中に行くって返事しといて」
「分かった」
ユリウスがミナセに帰ってきた。
サラディアは街が新しく、道も広くとってある。街づくりの際の測量もあるので、生活路線と観光用の2路線で、馬トロッコにしたそうだ。
資材の手配をし、工房が動き始めたのを確認して戻ってきた。
「後は、ボイルさんとペータさんに任せてきました」
「うん。あそこも地のもんが育ってるから大丈夫や。ご苦労さん」
「じゃあ僕、こっちの確認に行って来ます」
「え?もう行くん」
「気になっちゃって.....」
「そか。ほな行っといで」
コンドウ家の夕食。
「うまー。やっぱ米ですよねー」
丼メシをかき込むユリウス。
「相変わらずだねー。向こうでもそんなに食べてたの?」
笑いながら、カツミの試作中のてんぷらをつまんでいるアーク。
「レオンさんって僕より食べますよ」モグモグ
「あー。アイツ燃費悪いんや。勇者やから」
「意味わかんないー」
「カツミ、これ旨い。魚のすり身やんな」「うん美味しい」
「フープロ作ってもらったからな。やりたかったんよ」
「旨いです。メシ進みます」モグモグ
「グラニオスでどうかなーって。まあ先にポルトスで試作して貰おうと思ってるけどさ」
ユリウスがパッと目を輝かす。
「カツミさん、ありがとうございます」
「まあまだ缶詰で手一杯やろし。クレスが開発すりゃ一緒やから」
「はい」モグモグ「旨いです!」
「あ、カツミ。俺、おでん食いたい」
「オデン?」
「あー。名物料理にできるなぁ。やってみよか。豆腐、グラニオスに入れよっか」
「はい!お願いします」モグモグ
「俺、こんにゃくが好き」
「わー、難しいこと言うなー」
「コンニャクって?」
「芋から作るんやけど......どう説明したらええんやろ?」
「こんにゃくって芋なんか?」
「タケシ知らんわなぁ。あ、スライムでそれっぽいもの出来るかも」
「やってやってー」
「僕も食べてみたいー」
「モグモグ.......」
「へー。ええやん」
タケシはユリウスを連れて、アルネシアの魔導車工場に来ていた。
目の前には流線型に仕上げられた魔導車が、黒く光っていた。
「カイル、めっちゃええ」
「タケシ、中も見て」
「ウッホー♪」
「客車と貨車は、アルネシアのコンドウ馬車工房で試作してもらったやつだよ」
「うんうん。試運転は?」
「ちょっとだけ。レールがね」
「はぁ。やっぱそこかい」
「調整が難しくて、まだ馬トロッコ」
「うちも今、ミナセとサラディアやってるから無理やで」
「うん。そこはわかってる。時間かけてもちゃんとやるよ、こっちで」
「そうして」
「でさ、グラニオスの方なんだけど」
カイルがチラッとユリウスを見た。
「うん」
「元国境付近?山が多いでしょ。今整備してる街道は、レール敷く余裕ないんだ」
「ほんで、ユリウスな」
「うん。別ルート考えて」
カイルが地図を広げた。
「少し遠回りですが、この道がいいと思います」
地図の細い線を指すユリウス。
「ここか......」
「はい。距離は延びますが、この道は巾広げられます。狭いところは道路上にレールを敷く方法もあります。何より、交通量が少ない」
「え?道路上?」
「ずっと列車が通るわけじゃないですから。少し掘ってレール敷くんです」
「ん?路面電車か」
「ロメンデンシャ?」
「よう思いついたな」
「サラディアの農村部が、道の際まで畑になってて。で、いっそのこと道に引いちゃえって」
「ハハッそっか。さすがキカンシャ6号や」
「あ、タケシ、僕わかんない」
「あー。ちょい待て」
タケシ、絵を描いて説明する。
「なるほど......でもそれなら街道でもできるよね」
「いえ。街道は今後交通量が増えるでしょう。この区間だけでも分けたほうが安全だと思います」
カイルが地図から目を上げた。
「タケシ。彼、凄い」




