表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玲奈と、境ノ森町の魔法使い ―ワクワクはドラゴンと不思議を添えて―  作者: 杵島 灯
決めたから

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/42

9.きらい

 玲奈(れな)はポカンとした。


(いま……ヒスイくん、なんて言った?)


 とびきりの笑顔のままのヒスイ。

 あのイングリッシュガーデンのお店にあったキラキラの石を全部集めたより、ずっとずっとステキなヒスイが言った内容が、玲奈には聞き取れなかった。

 もしかしたらそこだけ、外国の言葉だったのかもしれない。きっとそうだ。


「ごめんね、ヒスイくん。もう一度言ってくれる?」

「え? どうしてだよ」

「ちょっと、よく分からなくて」

「なんだそれ」


 ヒスイはまた真っすぐに玲奈を見て言う。


「これで最後だぞ。いいか、ちゃんと聞け。……オレはお前が、『きらい』だ」


 きらい。きらい。きらい。きらい。きらい。

 その部分が玲奈の頭の中でぐるぐる回る。ヒスイはまだ何か言ってるけど、『きらい』であふれる玲奈の頭の中には入ってこない。


 きらい。

 オレはお前がきらい。

 きらいということは、きらいだということ。きらいなんだから、きらいだっていうこと。


 少しはずかしそうなヒスイ。

 頭の上で「キュー!」って鳴きながら前足で顔をかくしたキューイを乗せたヒスイ。


 その、ヒスイは、玲奈の、ことが。


「そっか。きらいなんだ……」


 小さな声で玲奈が言うと、ヒスイはショックを受けた顔になった。


「だったら。私もきらい、って言ったほうが、ヒスイくんはうれしい……?」

「キュー!」

「えっ?」

「キュ! キュキュー! キュキュキュー!」

「ちょっ、やだ、キューイ、なにするの?」

「キュキュ! キュキュー!」


 泣きそうな顔をしたキューイが両前足(りょうまえあし)でこぶしをつくって、玲奈の頭をポカポカなぐる。


「キューキュキューイ!」

「や、やめて!」


 キューイの攻撃(こうげき)から頭を守るために玲奈は両手をあげる。手に持ったままのペンダントが目の前できらっと輝いた。

 そのとき玲奈は、ヘンなことに気がついた。ペンダントのセレナイトを通してみたとき、ヒスイの後ろになにか黒いものがあったような気がしたんだ。

 ポカポカなぐるキューイの攻撃を右手の星座盤(せいざばん)でブロックしながら、玲奈は左手のセレナイトをのぞきこんでみる。


 そうしたら、玲奈と同じくらいショックを受けた顔をしてるヒスイの後ろに黒い(かげ)みたいなものが見えた。

 大きさは大人の男の人くらい。目と鼻と口があって、ニヤニヤと笑ってる。こんなの、ゼッタイにふつうの影じゃない。


「だれ!」


 さけんだ玲奈と影の目が合った。


『なんだって? 見つかったのか?』


 大人の男の人の声だ。玲奈はこの声を知ってる。森のパンやさんの近くで雨がふったときに、


『雨がふるよ。森のパンやさんは(のろ)いのパンやさんだよ』


 って言った声と同じ。

 きっと悪い魔法使(まほうつか)いだ。


「ヒスイくん、後ろに魔法使いがいる!」


 振りかえったヒスイがホウキをかまえる。だけど黒い影が呪文(じゅもん)をとなえるほうが早い。


『ヘイセケ デノト カンツイベ!』


 玲奈の体が()いた。


「えっ、うそ!」

「なんでだよっ! ……玲奈!」


 ヒスイが手をのばす。その指にもう少しでさわれそうって思ったのに、玲奈の体はジェットコースターに乗ってるみたいな(はや)さで森のほうへ飛ばされて、ヒスイから遠く(はな)されてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
楽しく読ませていただいています 『きらい』に対するヒスイくんとキューイの反応に、むむむ これは何かありそうな感じ タイミング的に悪い魔法使い?が関係してるのか、それとも??? 誤解(多分)がとける展…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ