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闢発の妖精王1 壊滅編  作者: C先輩
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Ashes to Ashes

投稿していたと思ったら、回線工事の停波中という奇跡を起こしておりました。


 薄暗い地下洞の扉を勢いよく開ける。後ろからついてきているセンが明らかに驚いているが無視した。

 ずかずかと足音を立てながら入り込んだそこは、また一つ大きな空間だった。但し大きく違うのは、その空間を幾つもの物体が占有しているという事だ。金魚鉢をそのまま大きくしたようなガラス容器が並び、その中ではゴポゴポと泡を立てながら奇々怪々な生物らしきものが痙攣しながら浮かんでいた。


「誰かいるか!」


 大声を上げてみるが反応は無い、無人だろうか。

 先程の敵は奇襲を受ければ危険な程度には強かった。つまり、常に思考を加速させ警戒しながら調べる必要がある訳だが、それはいささか脳が疲れる。

 という訳で、残った敵が居るならいっそのこと向こうから来てもらおうという魂胆だったが、肩透かしだった。


「これは、一体なんでしょうか」


 センが金魚鉢に浮かぶ生物を眺めている。

 セオリー通りなら、さっきの生物を生み出してる実験場といった所か。


「さて、ハーブを水耕栽培してるにしては、絵面が汚いが」


「すいこう…?」


 流石に伝わらなかった。


「忘れてくれ、ユーモアの訓練中なんだ」


 それからセンと手分けして、周囲を調べた。

 記録を殴り書きしたような紙が散乱している。描かれている文字を見て予想はしていたが、当然読めなかった。今度必ず言語関連の書物を探そう。


 書類調査はセンに任せて周囲を見渡す。

 簡素なテーブルや椅子、顕微鏡と天秤を組み合わせたかのような変わった機材、ここで何らかの実験をしていた事は分かるが、妙に違和感がある。


(生活感が無い)


 これほど大掛かりな設備だ。当然多くの人間が関わっているだろうし、それならば誰かしら嗜好品を置いたり飲食の痕跡を残したりするはず。

 だというのに、ここは綺麗過ぎる――

 そもそもセンの仲間達が捕捉していた件の逃走者はどこに行ったのだろうか。

 この部屋に他の出口は無かったが――


「シュウ!」


 考え込んでいると、クールなセン声を張り上げて呼んでいる。

 何事か駆け寄ると、一つの金魚鉢の前で青ざめていた。


「どうした?」


「逃走者を見つけた!すぐに逃げよう!」


「いや待て、意味が――」


「ここは罠!!」


 まるでセンの言葉に反応したかのように、突然周りの金魚鉢に入っていた肉塊達がボコボコと音を立てて膨張を始めたかと思うと、光りだす。

 ――どう考えてもロクな事にならない。


 すぐさまセンを脇に抱えると、最大出力で加速。直後に背後では大爆発が連鎖し、地下洞が雪崩のように崩落していく。

 大規模な地盤沈下でも起きていそうな崩落から、素粒子エンジンの加速力によって強引に逃げ切る。


「ぉお!」


 一気に教会裏の扉をぶち破って抜け出すと、崩落した粉塵が遅れて扉から幾らか飛散した。

 そのまま飛び上がり、教会の屋上から先程逃げて来た方角を確認する。町の郊外に数キロの地点でデカいキノコ雲が見えた。かなりの威力だったらしい。

 流石に町でも爆発音か地響きかが伝わったのだろう。どうもザワついている。


「シュウ!」


 声のした方へ振り向くと、トアンが屋根伝いにジャンプして駆け寄って来ていた。


「バルカンは?」


「大事ない。それよりなんだ今のは!?」


「証拠隠滅」


 センが先程回収していた何枚かの資料を掲げて言う。


「ここに研究記録と計画の一部が走り書きされてた」


 センが要約してくれた。

 ――灰猫は任務に失敗。

 処分として当人を媒体にした魔力体を精製。

 追跡者を拠点ごと爆破予定――


「この灰猫が追っていた標的で間違いないか?」


「大分変わり果ててたけど、あれは確かに灰猫だった」


 ――妙だ。


 待ち伏せての自爆、お粗末に過ぎる。わざわざその予定を紙に書いて現場に置いておくやつがいるだろうか?

 メモ癖のある研究者でも居たのかもしれないが、気付かれて逃げられる事を想定しなかったのか。


「という事は、奴らの首魁は結局仕留められなかったのか…」


 そう言ってトアンが苦い顔をしていた。


「すまん」


「いや、いい。我々だけだと全滅していた。正直シュウには感謝しているんだ。それに――」


 トアンの視線がセンに移る。それに気付いたセンは、トアンの言葉を引き継いだ。


「あくまでダグの町の安全が確保するのが目的だから、駄目だったら出入口を封印して別の出入り口を用意する手筈になってた」


「更に追跡はしないのか?」


「無理」


 センは即座に否定した。バルカンを戦闘不能に追いやった敵の情報や、地下で見つけた情報を持ち帰るのが最優先だというのだ。

 全くもって正しいと思う。彼女は素晴らしいニンジャだ。


「兎に角、一度バルカンを連れてダグへ戻ろう。今後の対策も――」


 その時、町の見張り塔から鐘を叩く大きな音が響き渡った。

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