デナン
投稿が遅れてすみません。
執筆スタイルが定まらない今日この頃。
構成や文法の整理と肉付けを追々やっていきたいんですよね。走り書きみたいになってますし。
――白騎士ユズベルトが反逆を企てている。
騎士団長マーズより内密に告げられた情報は、デナンの怒髪天を突くには十分な情報だった。
昔からユズベルトは気に入らない男だったが、血統、実力、功績、何より揺るがぬ王国への忠誠故に、気に入らないなりに認めていたのだから。
デナンはすぐさまユズベルトの追跡部隊を編制して出撃した。
許すまじ――
マーズは重罪人ユズベルトの処遇について、具体的な指示を出さなかったのをデナンはハッキリと覚えていた。
遠からぬ血縁故の情けか、或いは迷いか。
――されど国家を脅かすならば断たねばならぬ!
デナンの決意は固かった。団長が下せぬ相手ならば、せめて自分が一思いに仕留めるという意志が、彼を突き動かしていた。
そしてその目的は、今まさに果たされようとしていた。
ガーランド家の適格者不在により、スーン家へと下賜されたサラマンダーは、その期待通りの性能でもって、ユズベルトのディナ・シーを追い詰めた。
損傷し、無様に転がるユズベルトのディナ・シーを前にデナンが勝利を確信したその時だった。
翡翠の宝石が如き輝きを放つ鎧を纏う妖精機が、突如として割り込んできた。
『妖精王さ』
その者は名乗った。
妖精王、1000年以上昔に起きた黒獣の災厄から人々を守る為、妖精機を生み出したとされるかの王であると。
なんと傲慢な――
怒り膨れ上がる。デナンは任務を妨害し、無礼極まるこの者を一刀のもとに切り捨てんとするが、果たしてそれが叶う事は無かった。冠位を持つサラマンダーを赤子のようにあしらう機体、その規格外さにデナンは動揺した。
(まさか、傭兵如きがこんな強力な機体を!)
デナンは焦っていた。正直言って、まるで勝ち目が見えなかったのだ。
これは負ける――そう思った時、自称妖精王はここでとんでもない要求をしてきた。
『その機体を明け渡せ。抵抗しないなら命は保証しよう』
――そこからの記憶はよく覚えていない。
抗えば、恐らく全滅するだろうが、自称妖精王は妙に義理堅く、交換条件としてこちらの目的だったユズベルトの始末を真っ先にやって見せた。
部下の安全を保証させるべく、サラマンダーを降りると、守ろうとしたはずの部下達が必死に抵抗をしようとする。それを翠の妖精機は相手にせず、大破した白騎士隊の空艇をあろうことか妖精機の魔法によって空高く持ち上げ、大地に叩きつけて見せた。
誰もが声を発する事ができなかった。
まさに戦略級の大魔法だ。妖精機が空へ浮いているだけでも凄まじい話であるというのに、その何倍、何十倍も巨大な空艇を軽々と投げ飛ばしてみせるのだから。それをたった1機の妖精機が容易く行使している。
妖精王を名乗る機体は、それ以上危害を加えて来なかった。気が付けば促されるままに、聖騎士隊を回収して引き上げていた。
他の騎士達も、恐慌状態になったり、上の空になったり、冷静で居られたものは居ない。
デナンがようやくまともな思考へ復帰できたのは、全ての報告を終えて帰宅し、沈むように眠った翌日の朝だった。
「私は、何という事をしてしまったのだ」
王国の重要な戦力を担うサラマンダーが謎の勢力に鹵獲された――
冠位を持つ特別な妖精機は、量産型等とは比較にならない戦力である。小国家では1機保有する事さえ難しい程貴重な機体であり、ある意味ユズベルトの命よりも重い。
それを、無傷で所属不明の勢力に奪われたのだ。
「ぁあ!?ぁぁぁああああぁぁぁあぁ」
皮膚が抉れる程に首を掻きむしり、抑えようのない感情が身体の血を沸騰させる。デナンの誇り、その忠誠心が高ければ高い程、事実が深く自分を責め立てる。
デナンはこの日より、錯乱を繰り返して部屋に軟禁されるようになった。




