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闢発の妖精王1 壊滅編  作者: C先輩
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アシュリー、薙ぎ倒す

寝ぼけていたのか、先週分の繋ぎが悪かったので併せて修正しています。

 木々に生い茂る深緑の葉に、夜明けの光を受けて朝露が光を反す。それを合図に鳥達はまだ薄明りの空に飛び立ち、木々の根元では小動物達が木の実を探して駆け回り、目覚めた生命達の息遣いが森を活性化させていく。

 その中を――


『いやぁぁあああ止まってえええ!?』


 場違いな、朱い鉄の巨人が悲鳴と共に駆け抜けていた。猛禽類のような意匠のフェイスと、青く鋭い双眸が特徴の妖精機サラマンダーである。悲鳴の主は、乗り手となったアシュリーだった。


『頑張れアシュリー!お前ならできる!』


 こちらはアシュリーの上空後方から、フレイでガスパルとヤリン、そして馬とムベベを抱えて追従していた。


『ていうか助けなさいよ!ズルいわよそっちだけ!』


『定員オーバーだ。事故りかけたら止めてやるから頑張ってそのまま走れ』


『くっそおおお!』


 文句を言いながらも、アシュリーはサラマンダーを柔軟に扱い、大木に衝突する事無く、木々を縫うようにして駆け抜けている。


『それにしても凄い運動性能だな、前の持ち主はこんな動きはしていなかったぞ』


「ワシからすりゃ、軽々と空を飛んでみせるアンタの機体のほうがよっぽど信じられんぞ」


 フレイの肩に座っているガスパルの声が若干呆れていた。

 曰く、そもそもサラマンダーはガーランド家の人間が遺伝的に相性の良い魔法適正者が生まれやすいという経緯で、武勲を上げた折に下賜された者が、召し上げられた経緯を持つという。

 相性が良いというのは、妖精機が核を媒介して使用しているあらゆる魔法の"色"だとか。乗り手の使える魔法とそれが近ければ近いほど、より高い変換効率によって性能を引き出せるという話だった。

 その結果がこの豪快な環境破壊である、許せ森の今日を懸命に生きる動植物達。


「す、すみません…私のせいで」


 ガスパルの隣で、ムベベと一緒にフレイの装甲へしがみ付いているヤリンが謝って来た。


『気にするな、別に迷惑は掛かって無いぞ』


 そう、事の発端はヤリンの懇願だった。



 ヤリンはここガリア平原中立地帯の森にある、小さなエルフの集落に住んでいた。

 ある日、フードを目深に被った男が訪れた。長と何か話し合っていたが、急に叫び声が聞こえてきたかと思うと、集落の周りに巨大な黒獣が現れて、皆を襲い始めたのだという。

 必死で逃げたヤリンだったが、両親は自分を逃がす為囮になり、一人で逃げる事を拒否するヤリンを家族同然に育ったムベベが背に乗せて、強引に森を抜け逃げて来たのだという。


 両親の生存は絶望的、それでも生存者が居るなら助けたい。ヤリンのその声にいたく感じ入ったアシュリーが、こちらの返答を待つまでもなく救援を申し出てしまった。


「黒獣を操るなんて、なんて危険な連中なの!大丈夫よヤリンちゃん、この聖騎士たる私が絶対にそいつをぶっ飛ばしてあげるから!」


「えぇ…」


 物凄い剣幕で話すアシュリーに対してドン引きしていると、ガスパルがそっと近づいて耳打ちしてきた。


「閉鎖的でいけ好かない種族じゃが、あいつらは恩義には拘るから、助けてやったらどうじゃ?大きい里でそれを伝えれば、お前さんの機体を直せるぐらいのデカい工房を借りれるかもしれんぞ」


「よしヤリンを助けてやるぞアシュリー!」


「え?え、えぇ…」


 もう殆ど脊椎反射だった。この男はなんと良い情報をくれるのだろうか。あまりのテンションの変わりようにアシュリーが若干引いていた。


 こうして、早朝から早速アシュリーを妖精機サラマンダーに乗せ、起動に成功したのでヤリンの集落へ向かったのだが、ガスパルに説明を受けて尚、アシュリーは現在進行形で見事に暴走してくれていた。

 暴れながらもなんとか機体を制御して転倒もさせて無ければ致命的な衝突事故も起きないでいる辺り、才能があるのかもしれない。


 しばらく森を進むと、レーダーに妖精機のような反射波が反って来た。


『ヤリン、もう少ししたら集落か?』


「は、はい!そうです!」


 望遠レンズで補足すると、グレーの装甲を纏った細身の機体が3機方陣を組んで警戒していた。


 〈犬、でしょうか〉


 アイリスの抱いた感想には概ね反論する者は居ないだろう。今まで見て来たディナ・シーとは違うやや細身のシルエットと手には長槍、何より特徴的なのは、犬のおような耳と長い鼻先を持つフェイスデザインだった。


『アシュリー!恐らく集落の位置にだが、犬のような機体が3機居るぞ。分かるか?』


『クー・シーでしょ!何者か分かんないしとりあえず身元の確認するわよ!』


 ディナ・シーの親戚みたいなものだろうか。

 そこから速度を緩めることなく突撃していくアシュリーの後ろを、光学迷彩を維持して追従する。アシュリーはクー・シー達の前まで躍り出るように飛び出すと、声高らかに宣言した。


『聞け!こちらフィガロスの聖騎士アシュリー・ガーランドだ!救援要請を受けやってきたが、貴君らは傭兵か?所属を明かし、目的を述べよ!』


 クー・シー達は一瞬驚いたようだが、すぐさまアシュリーへ向かって斬りかかってきた。

 ディナ・シーを遥かに上回る軽快な踏み込みによって一気に間合いを詰めた一機のクー・シーが長槍による刺突を繰り出す。並のディナ・シーであれば容易くコックピットを貫かれるであろう致命の一撃をアシュリーは慌てる事無く抜剣し受け流し、その勢いを生かしてクー・シーの横腹に鋭い回し蹴りを放って見せた。

 ガンッという鈍い音と共にクー・シーが吹き飛び、もんどりうって倒れる。それを確認する間も無く後続の2機が同時に襲い掛かった。

 助けるべきか――ほんの僅かな逡巡だったが杞憂だった。アシュリーはナメるな!と叫ぶとサラマンダーの増幅魔法(オーバード・マジック)を起動して2機の足元から巨大な炎の柱を吹き上がらせた。クー・シーから悲鳴のような声が聞こえたかと思うと、一瞬にして敵機が黒焦げになって崩れ落ちた。


 〈まさか中で焼け死んだのか?〉


 〈非常に軽量化されているようですので、遮熱性など無いのでは〉


 〈それはそれは――〉


 想像以上にアシュリーを乗せたサラマンダーは使えるかもしれない。


 光学迷彩を解いて、吹き飛ばされて伸びているクー・シーに近づく、もしかすると襲撃者について情報が得られるかもしれない。

 その意を汲んでか、機体を屈ませるとガスパルがクー・シーに飛び移り、ハッチを開けた。


「あ~、駄目じゃ、挽肉になっておる」


 想像以上にアシュリーを乗せたサラマンダーは使えなかった。

おかしい、結構削ぎ落したと思ったのに2500文字とか書いてある。

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