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闢発の妖精王1 壊滅編  作者: C先輩
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騎士の家系

暗躍する地下組織、その行動を図らずも阻む形となったシュウを認識するも、未知数が故に直接的な干渉を控えるしか無い状況が続く。

「意味が分からん・・・あいつは何ですかにゃぁ」

「結論から言うと、現状では無理じゃな」


 そう告げられたのは、月明かりの下火を焚いて暖を取りつつ、ガスパルにEL.F.の診断を簡単にだが頼んでみた結果だ。

 予想は出来ていた、むしろ本番はここからなのだ。


「既存の技術で動かせるようにならないだろうか」


「理屈じゃあできる、だが技術も設備も足りねえ」


 ガスパルの弁では、生体金属繊維と似た原理の機構で一般的な妖精機は動いているし、より高強度で柔軟な動きを取るようだが、それはより大型で、且つ魔法による強化が施されているからこそ成り立つという。


「この電気?っていうのは凄い技術だが、本当に魔法は使われてねえのか」


「違う、そもそも部品の強度を上げる技術は使われていないんだ」


 瞬間的な保護は別の機構で行っているが、と告げるとガスパルは更に溜息を深くした。


「要するにあれか?こいつは消耗した部品は使い捨てる前提か」


 試合が終われば損耗状態はリセットされていたEL.F.だ、成程言われて見れば使い捨てである。

 頷くと、ガスパルは頭をボリボリと掻いた。


「お前さん、生まれは?」


「果てしなく遠い国だよ」


「これから、こいつを治してどうしたい」


「傭兵を続けるよ」


「この国でか」


「駄目だろうか?」


「ふぅ、まぁ無理な話じゃな」


 再び、ガスパルから無理判定である。


「この国は大概腐っておるが、優秀な所もある、例えば――」


 そう言ってガスパルは、ハンマーを担ぎなおして構えた。


 〈赤外線に影、数は6、四方から駆けて来ます〉


 同時にアイリスからの無線が飛ぶ。こちらの異変に気付いたアシュリーも長剣を引き抜くと身構えた。その瞬間、方々から黒い物体が投擲されて飛来した。だが目標へ辿り着く前に、素粒子の壁によって慣性を殺されたように、それは空中で静止した。近くに居たガスパルは自分が、アシュリーとヤリン、その下にいるムベベはアイリスが守っていたからだ。


「矢?それにこの染みはまさか毒!?」


 アシュリーの叫ぶ声がする。闇に紛れた襲撃者を捉えんと辺りを見回しているが、既に気配は近くに無かった。


 〈反応、それぞれ離脱していきます。追いますか?〉


 〈帰ってくれるなら放っておけ〉


 引き際の良い優秀な暗殺者だ。というかアイリスと同じ頃にその襲撃に気付くガスパル恐るべしである。


「――まさに、こういう所よ」


 ガスパルがハンマーを降ろして呟く。


「引いたようだ」


「ほぉ、お前さん分かるのか」


 センサー無しで分かるあんたの方が驚きだ。


「アシュリー!こっち来い!」


 ガスパルの声にアシュリーが駆け寄る。そのあとをヤリンとムベベがそわそわと付いてきた。


「シュウと言ったな、今のは恐らく王国の暗部で、見ての通りワシらを全員殺そうとしてきた。目的は2機の貴重な妖精機の奪取と、反乱分子の暗殺じゃろて」


「叔父さん待ってよ!なんで聖騎士のあたしが反乱分子なの!?意味が分からないわ!」


 納得いかないと言うように、アシュリーは赤い髪をしならせるように首を横に振る。


「そろそろ気付かんか馬鹿者!サラマンダーはかつてガーランド家が拝領した際に賜った至宝。没落によって召し上げられ、今やスーン家のものじゃが、そんな代物が盗まれ、離れたこんな場所にガーランド家の人間と在ったらどう考えるんじゃ!」


「あ――」


 アシュリーはそれを聞いて膝から崩れ落ちた。

 つまり、ガーランド家は今回のサラマンダー強奪事件の首謀者ないしは関係者と見られ、罪人と認定されたという事なのであろう。つまり自分は今、かなり豪快にこのアシュリーという女性のキャリアを粉砕してしまったらしい。

 ガスパルの話は続いた。


「だが案ずるなアシュリー、お前が聖騎士になるといった時から、ちょっと――いや大分想像とは違う形だが、こういう未来は想像しておった。何せお前はあの、貧乏くじを引く事においては他の追随を許さぬ天才ジュリアスの娘じゃからな。だが今回のケースは、その中でも運が良い方と見ておるよ。のう?」


 そう言ってガスパルはこちらを向いてくる。何となくだが、このジジイが言いたがっている事が分かったような気がする。


「ああ、俺が力になろう」


 そう言うとガスパルはニヤりと笑う。


「確認じゃがシュウよ、本当にお前さんの目的はコイツの修理で、サラマンダーでは無いんじゃな?」


「ああ、邪魔だしアンタが修理に協力してくれるなら貰ってくれたって良い」


 サラマンダーを奪った理由は妖精機の構造を参考にしたかったし、あわよくば部品取りにと思っていたと、診断をしてもらった時に話していたので首肯する。


「アシュリーよ、一緒に生き延びるぞ」


「わ、私は騎士としてガーランド家再興を願って――」


「国がお前を殺そうとしておるのじゃ。だが騎士の一族として誇りまで捨てる必要は無いぞ」


「でも私は!」


 叫ぶアシュリーをガスパルは遮る。


「生き延びるんじゃ!――例え国が違っても良い、お前の正しい事を成せるように生きよ」


「でも!でも何もできなかったの!才能があるって言われた魔法も剣術も、この男にはまるで通用しなかったし、今だって...!」


 悔しそうに鼻声で叫ぶアシュリーの頭に、ガスパルはそっと手を乗せて撫でる。


「お前の強さはワシが知っておる」


 そう言ってガスパルはサラマンダーへと視線を送り、指差した。


「サラマンダーへ乗れ、あれはお前をきっと導いてくれる」


「サラマンダーへ?なんで――」


「ガーランド家に在った時から、アレはお前さんを認めていたからよ」


 アシュリーの問いに、ガスパルはニカッと嗤って答えた。

新パーティ編成

・シュウ

・アシュリー

・ガスパル

・ヤリン


乗り物

・EL.F.(フレイ)

妖精機サラマンダー

・リンドオーム(ムベベ)

・馬(名前はまだ無い)

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