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没落貴族に異世界転生?でも総量1万越えの魔力と商才活かしてはじめる国づくり!  作者: 神崎あら
小国編

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96/101

96話 仮面の正体

ーー7年前、ゲナト法国・首都サンサールにて


 「うああああ」

 「兄さん!」


 液状化した天使はグリフの顔に纏わりつき、仮面のような形状へと姿を変えていった。


 『ふはははは、やはりよく馴染むさすがはあの女の血筋だ』


 仮面となった天使はグリフの声帯を操り、大きな笑い声を上げてそう言い放つ。


 「待ってて兄さん、今すぐその仮面をーー」

 「やめろパズール、いいんだこのままで!」

 「でも!」

 「誰かの犠牲無くして留められないものなら、俺が引き受ける!」

 「兄さん……」

 

 グリフがそう言うと、天使の仮面はグリフの顔全体を覆い始めた。


 『ズオオオオオ』

 『ふふ、威勢のいいガキね』

 「ガキじゃない次期法王だ、いいか天使よ、お前がこのまま俺を乗っ取る事ができたとしても、必ずお前は倒され……」

 『コトッ』


 そうしてグリフの意識は完全に天使に飲み込まれる。


 「俺を倒すか、はは、言うじゃねぇかよ次期法王様よぉ、まぁもういないがなぁ!!」

 『バコォン』


 グリフの身体を完全に乗っ取った天使は、そう言って爆風で周囲を蹴散らした。


 「に、兄さぁん!」

 「なんだお前まだいたのかよ、無価値なガキめお前はさっさと獣人にでもなればいいんだ、おい衛兵どもさっさとこのガキを実験施設へ連れてけ!!」


 天使グリフがそう言って大声を上げると、どこからともなく2人の衛兵が現れた。


 『ガシッ』

 「やめろ衛兵放せ!」


 あっという間に捕まってしまうパズール。

 そして捕まったパズールに近寄るグリフ。


 「あばよパズール、お前がもしも獣人化に成功したら俺が直々に使ってやるよ」

 「……返せ、グリフ兄さんを返せよ化け物!」


 そう言って暴れるパズール。


 「おお怖え、早く連れてけ衛兵!」

 『コクッ』


 衛兵は言葉を話す事なく頷き、パズールを地下の実験施設へと連れて行く。


 「放せ、放せよバカ!」

 『ズルズル』

 「じゃあなぁ~、もう二度会う事のない弟よ」


 地下に消えゆくパズールにそう言って手を振るグリフ。

 そうしてパズールは地下へと運ばれて行くのだった。


ーー現在、ラナトス&パズールにて


 「……そんな事があったとはね」

 「今から半年ほど前にリップティッチの姫が天使に適合できると分かったときは、これでやっと兄貴を解放できると思って、正直死ぬほど嬉しかったよ」


 そう話すパズールの顔は歪んでいる。


 「たとえシスティーナさんに天使を移しても、君のお兄さんが戻る保証はどこにもない、それなのに君は、君達はそんな愚かな事をしようとしているのかい?」

 「うるせぇラナトス!お前に何がわかる、狂った親父とその元凶に支配された兄弟を持ってしまった俺と、アンドリュー兄さんの気持ちがお前にわかるかよ!」

 「……」


 パズールの言葉にラナトスは返答できず、黙ってしまう。


 「じゃあなラナトス」

 

 そう言って立ち上がるパズール。


 「止めはしないよ、でもねパズール、考え直してほしい、君のやろうとしていることでは誰も救えない」

 「うるせぇ……もう戻れねぇんだよ」


 そうしてパズールは、街の奥へと消えて行くのだった。

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