93話 状況整理
ーーエリック&アーチボルトにて
『パキキキ』
「覚えてろよエリック」
「じゃあなアンドリュー、また明日迎にくるからな」
俺は氷輪絶花で凍っているアンドリューに、さらに氷属性の魔力を使用して巨大な氷塊の中にアンドリューを閉じ込めた。
『パキィン』
「この氷塊はどのくらい持つんだ?」
「結構魔力を使ったので大体2日間くらいは持つと思います」
「2日か」
『スチャッ』
アーチボルトはそう呟くと眼鏡をクイっと上に押し上げた。
この巨大な氷塊を作るのに有した魔力量はおおよそ1500ほど。
特別認定魔法1発が2000ほどなので、それよりも少しだけ少ない魔力量をこの氷塊に使用している。
そのため強度は鉄よりも硬く、炎でも溶かせない。
さて、アンドリューはこれで良いとして、システィーナさんをどうするかだな。
「え、エリック様……」
アンドリューの拘束が完了したタイミングで、気を失っていたリーヤが目覚めた。
「リーヤ!大丈夫かい?」
「は、はい大丈夫です……くっ」
『ゆらっ』
そう言ってリーヤは立ちあがろうとしたが、よろけて倒れてしまう。
『ガシッ』
「へ?」
「大丈夫ですか?」
「は、はい大丈夫です」
よろけるリーヤの体をアーチボルトは支えてそう訊ねる。
雷速を使って移動したのかな?
にしてもタイミングが良すぎる……。
「裂傷が多いですが、治療すれば跡は残りません」
「は、はい」
「回復魔法発動」
『シュオオ』
そう言ってアーチボルトは、リーヤの傷を治し始めた。
お、おい勝手に何してんだアイツ……。
「凄いです、あっという間に傷が塞がっていきます」
「私は魔力量多いので、回復魔法の効率も早いのですあとは……練度も高いので」
そう話すとアーチボルトは少し寂しそうな顔をした。
おそらく練度が高いってのは、戦場で沢山使ったからなんだろうな、きっと。
『シュオッ』
そうして傷は殆ど塞がり、リーヤは歩けるようになった。
「ありがとうございます」
『ペコッ』
「いえいえいいんですよ、それよりリップティッチのお姫様が攫われた時のことを教えてください」
「はい!」
アーチボルトがそう言うと、リーヤは背筋をピシッとしてそう答えた。
なんだろ、リーヤのあの感じ俺の前では見たことない気がする。
「では話しますね、まずゴリラの獣人と戦っていたのですが」
「待てリーヤ、ゴリラの獣人ってのは一体誰なんだ?」
「ラングレーとか言う男です」
「ラングレー……」
まずいな、そいつもしかしたら俺とルースが取り逃した奴かもしれないな。
「どうしたエリック?」
「い、いえ何でもないですよサンダースさん」
「……ほう」
アーチボルトはそう言ったが、怪しそうに俺を見つめていた。
まずい、この人洞察力高すぎるから色々バレてしまうかもだ……。
「とりあえず続けますね、そのゴリラと戦っていたら、もう1人の刺客に背後から突然ナイフで切りつけられてしまい、そうして動けなくなり2人にシスティーナ様ごと逃げられてしまいました」
そう話すとリーヤは悲しげに俯いてしまう。
「気にしないで下さいと言っても気にしてしまうだろうから、敢えて言わせて下さいリーヤさん」
アーチボルトは、落ち込むリーヤにそう話しかける。
「え?」
「挽回しましょうリーヤさん、犯してしまったミスは修正できませんが次の仕事を完遂すれば、そのミスの負い目もある程度忘れられますから」
その言葉を聞いたリーヤは顔を上げる。
「ありがとうございます!」
「いえいえ、共に頑張りましょう」
アーチボルトに励まされたリーヤは、元気いっぱいにそう答える。
なんかあの2人雰囲気いいな。
一応、リーヤの主人は俺なんだけど……。




