91話 ラナトスvsグリフ
ーーラナトスvsパズール&グリフにて
『ザシュッ』
「くっ」
ラナトスは、クリフの放った風の刃により右腕を少し斬られてしまう。
「どうだいラナトス、風の刃は?見えないだろ」
「ああ厄介だね、風だから避けるのも難しいよ」
数ある属性のなかでも、風属性は特に厄介と言われている。
見えない刃に、空を浮く魔法。
いかにラナトスと言えど苦戦を強いられる。
「いくよ、風刃!」
『シュッ』
グリフは見えない風の刃をラナトスへと放つ。
『ザシュッ』
「くはっ、やはり躱せないか」
ラナトスは放たれた風刃を避け切ることができず攻撃をモロに受けてしまう。
「はは、無理だっての」
「あと少しなんだけどな」
ラナトスは風刃を受けながらもそう呟く。
魔力操作による攻撃は、熟練者になればなるほどに魔力の揺らぎにムラがなく読まれにくくなる。
だがその反対に未熟な者の魔力操作はムラが多く読まれやすい。
そしてグリフのそれはエリックやアーチボルトなどの熟練者には遠く及ばない、つまり普段からエリックと手合わせしているラナトスにとって、グリフの攻撃を読む事は難しく無いのだ。
「何をやろうとしてるのかわからないけど、無駄だよラナトス、風刃!」
『ユラッ』
「見えた!斬り裂け聖刻印」
『スパァン』
ラナトスの引き抜いた聖刻印は正確に、グリフの風の刃を真っ二つに切り裂いた。
「あれ?もしかして風の刃斬られたの?」
『シュッ』
「そうだよ」
神域の肉体強化により、素早い動きでグリフの背後をとったラナトスはそう返事をした。
「え?」
「トロいねグリフ」
『シュッ』
そう言ってラナトスは聖刻印をグリフの背中めがけて斬り裂いた。
『ガキィン』
「へぇ、やるじゃん」
『兄貴はやらせねぇよ!』
グリフに迫る刃をパズールが止める。
「良くやったぞパズール!そのままだ」
『シュウウウ』
そう話すグリフの右手に風が集まり出した。
『ギチチチチ』
「おいおいまさか、弟ごと斬り裂く気なのかい?」
「ああそうさ、こいつら獣人は俺のためにいるからな」
「終わってるね君」
パズールの斧と鍔迫り合いをするラナトスは、弟ごと斬り裂こうとするグリフを見てそう呟く。
「いちいちうるせぇよお前、風刃!」
『ザシュ』
そうしてグリフの風刃はパズールごとラナトスを斬り裂いた。
『ぐはっ』
ほぼゼロ距離だったパズールに避ける術はなく、風刃はほぼ直撃してしまう。
一方でラナトスは、グリフの魔力の揺らぎを感じ取り、素早く躱す事に成功しダメージを最小限に抑えていた。
『ドスッ』
あまりのダメージに片膝をつくパズール。
その様子見たグリフの表情は曇っていく。
「やっぱし使えねぇなお前」
『……』
「ミノタウロスの獣人だろ?しっかり王の盾になれよ」
『ごめん兄ちゃん』
「もういいよ、お前はどこかへ行け、ラナトスは俺が仕留めるから」
『シュッ』
その時、再度ラナトスがグリフの背後に現れる。
「なっ!また後ろからかよ」
「甘いんだよ君」
『スパァン』
そうしてラナトスは、グリフの身体を聖刻印で斬り裂くのだった。




