88話 援軍
ーーエリックvsアンドリューにて
『シュオオ』
「はぁはぁ、どうだエリック俺の二重黒狼弾の威力はよぉ」
「良い威力だったよアンドリュー、まさか迅雷風烈を防がれるとはね」
俺は迅雷風烈を使い勝負を決めにいったが、アンドリューの二重黒狼弾により上手く相殺されてしまった。
とっておきの特別認定魔法だったんだが、やはりこいつが耐えきれなかったか。
『パリンッ』
そうして指輪型の擬似魔道具に亀裂が入ってしまう。
幸いにも亀裂が入ったのは魔石ではなくそれを支える鉄の方であるため、まだギリこの魔道具は使用できる。
やっぱりリップティッチ産の魔道鉄じゃないと、俺の魔力量は伝達できないみたいだな。
「なんだエリック、魔道具壊れたのか?」
「まぁな、そっちもケルベロスじゃなくて、元の姿に戻ってるみたいだな」
「ああ、黒狼弾で相殺しきれなくてな、少し雷を喰らっちまったよ」
「そうかよ」
アンドリューは見たところ人狼ですら無くなっている。
もしも奴の獣人は魔力が少ないって話が本当なら、このまま俺は魔力纏いや魔力量を活かした肉弾戦をすれば問題なくアンドリューに勝てるはずだが。
『シュッ』
「あ?」
俺は足に魔力を集めて、全速力でアンドリューへと突撃した。
「おりゃああ」
『ゴスッ』
「んだよ、そのパンチ」
「う、嘘だろ」
しっかりと魔力を込めて殴りつけたはずなのに、アンドリューの身体はビクともしなかった。
おかしい、大抵の奴らなら吹き飛ばせるはずの俺のパンチが効かないなんて。
「さてはエリック、お前魔力を纏った拳なら俺を傷つけられると思ってるな」
アンドリューはニタっと笑いそう話す。
何か変だ、人を殴ってる感じがしない。
まるで、馬鹿でかい獣を殴っているような感じだ。
「……どういう事だ?」
「いいねぇその顔、俺の事を不気味だなって思ってるのが一目でわかるぜ、いいかエリックよ、お前が殴ってるのは人じゃねぇんだ、土台3メートル越えのケルベロスなんだよ」
「何言ってんだ、もう変身は解けてるだろ?」
「あー、鈍いなぁエリック、ま、いいやこれでも喰らえばわかるだろ」
そう言ってアンドリューは右拳を振り上げた。
「ふんっ!」
『バコォン』
「くっ、なんだこの重いパンチは」
そうして振り上げた拳はそのまま俺に振り下ろされ、左腕でガードしたがパンチの衝撃は内臓にまで伝わった。
「ごはっ、はぁはぁ、なんだよこれとても人のーー」
「人のものじゃないだろ?だって人じゃねぇもん俺」
『ザワザワ』
アンドリューがそう言うと、また全身を漆黒の体毛が覆い始めた。
う、嘘だ、ケルベロス化は解けたはず再生したのか?
早すぎるだろ……。
『グォォオオ』
そうしてアンドリューはまた、3つ首の獣に変貌を遂げる。
『さぁエリック、続きと行こうか』
「お前の回復力は、一体どうなってんだよ……」
『神獣種の獣人はなエリックよ、基本的に自己治癒能力が最強なんだよ、切れた腕でも頭でもほんの少し休めばすぐ元通りさ』
な、なんだよそれ。
チートすぎるだろ。
てかまずいな、まだ使えるとはいえもうこの擬似魔道具で特別認定魔法は撃てないぞ。
通常、特別認定魔法は使用前には溜めが必要で、この指輪はその溜めを短縮する役割も担っている。
アンドリューとこのまま1対1で戦って、そんな溜めを作らせてもらえるかはわからない。
せめてあと一回、特別認定魔法が撃てれば……。
『ギュオオオ』
『さぁエリック、またあの魔法で相殺してみろよ!でも今度は二重じゃねぇ、三重だぁ!!』
『ギュオオオ』
そう言ってアンドリューは、3つ首全てで黒狼弾を準備し始める。
ま、まずい流石にあの威力のもの3つを氷人形だけで躱すのは無理がある。
これはダメージ覚悟でこっちも特別認定魔法を使うしか……。
『バチチチ』
「なんだ?」
「退きなさいエリック」
その時、俺の背後から懐かしい声が聞こえた。
「え?」
『ズドォン』
『ゴフッ』
俺の横を一瞬で何かが過ぎ去ったかと思ったのも束の間、気がつくとアンドリューが吹き飛んでいた。
『お、お前……何者だ?』
4、5メートル吹き飛んだケルベロス形態のアンドリューは、3つ首全てで自身を吹き飛ばしたその人を睨みつけそう訊ねた。
『スチャッ』
「レヴァンス王国、第一将アーチボルト・サンダースです、どうぞよろしく」
「サンダースさん!」
「やぁエリック、久しぶりだね」




