81話 物量戦
『バリン』
「おいおいここまでする事はねぇだろ」
そう言ってアンドリューは凍った馬車から降りてきた。
「こうするのが一番早いと思ってさ」
「早いには早いだろうが、雑だよな」
「荒っぽいのは好きだろ?」
エリックはニヤリと笑いそう呟いた。
「まぁ嫌いじゃねぇな」
そう言ってアンドリューも笑い返す。
「さてと、リーヤ!馬車の中にいるシスティーナさんを頼むよ」
『任せて下さいエリック様!」
リーヤはそう答えると竜形態を解いて人型へと戻る。
「おいおいなんだよその姿、最近のドラゴンは人にもなれるのかよ」
「リーヤは特別なんだ」
「ほう、おもしれぇなエリックよ」
アンドリューはそう言うと、大剣に魔力を込めた。
『ゴウウウ』
「いくぞエリック、俺流魔剣技"狼閃剣"」
『ズバァン』
即座に人狼化したアンドリューは、大剣に目一杯の力を込めて振り抜いた。
「氷壁!」
『パキキキ』
エリックは右手にはめた擬似魔道具の指輪を使い分厚い氷の壁を作った。
『バギィン』
「あ、あっぶねぇ」
氷の壁はアンドリューの斬撃により大破してしまったが、防ぐ事には成功していた。
「ほう、なかなか硬えじゃねぇかよ」
「結構分厚い氷で作ったのに、こうも簡単に壊されるとは」
「誇っていいぞエリックよ、俺の攻撃はゲナトで一番の破壊力なんだぞ」
「辛うじて一撃防いだくらいで、誇るほど俺もアホじゃないよ」
『パキパキ』
そう言ってエリックは、右手に氷剣を作り始める。
「今度は剣か、いいなその指輪」
「まだ試作品だよ」
エリックはそう答えると生成した氷剣の切先をアンドリューへと向ける。
魔力操作でも剣を作る事はできるが、魔道具を用いて作成した剣のほうが強度が圧倒的に高い、そして消費魔力も抑えられるためコスパもいいのだ。
まぁエリックにとってコスパとは大した意味を為さないのだが。
「試作品ねぇ……まぁいいや、いくぞエリック!」
そう言ってアンドリューは、大剣を天高く振り上げた。
「あの大剣を防ぐには一本じゃな足りない、2本目も必要だ」
『パキキキ』
そう呟くとエリックは、左手にも氷剣を作り始めた。
「2本目か、いいねテンション上がるぜ」
エリックの2本目の氷剣をみたアンドリューのテンションは最高潮に達する。
『パキキキ』
そしてエリックの2本目の氷剣が完成する。
完成を見届けると、アンドリューは勢いよく大剣を振り抜いた。
「あばよエリック、これでおさらばだ!」
「どうかな?」
『ガキィン』
エリックはそう言うとアンドリューの大剣を氷剣2本で受け止めた。
『ギチチチ』
「やるじゃねぇかよ、エリック」
「そっちもなアンドリュー、凄い力だ」
魔力量1万を有するエリックは、耐久力もさる事ながら魔力量の多さよによりパワーも上がっている。
しかしそのパワーを持ってしても、アンドリューの大剣は吹き飛ばせないほど重かった。
「はは、人狼の力はまだまだこれからだ」
『ググッ』
アンドリューはそう言うと更なる力を大剣に加えていく。
「くっ、まずいな」
『パキィン』
エリックは2本の氷剣を力強く振り抜き、無理矢理アンドリューを吹き飛ばした。
「お、やるなぁエリック、でも今ので剣の方はダメになっちまったようだな」
『ボロッ』
その言葉の通り、エリックの持つ2本の氷剣は砕ける寸前だった。
「ああ、そうだな」
『パキキキ』
そう言ってエリックは、指輪の力で瞬時に氷剣を修復してみせた。
「おいおい何本でも作れんのかよ」
「魔力が尽きない限り作れるよ」
「……すげぇな、てかお前魔力量いくつなんだよ?」
アンドリューからそう訊かれたエリックは笑みを浮かべる。
「1万だよ、アンドリュー」
「おいおい、おとぎ話でも聞かねぇぞそんな量は」




