76話 擬似魔道具
『スチャッ』
俺は取り出した魔石の指輪を右手の人差し指に装着した。
「その石、もしかして魔石か?」
「正解、しかもこれはただの魔石じゃないぞ、純度が高く内包している魔力量もさる事ながら魔力の伝達力も高い」
「魔道具なのか?」
「一応そうなるかな、まぁでもまだ試作段階だけどな」
この指輪はベルーナ領で取れた純度の高い魔石を、アルト国内で手に入れた魔道鉄で加工した自作の魔道具である。
本音を言えばリップティッチ産の魔道鉄で作りたいところだったけどね。
「ほぉ、魔道具かおもしれぇ」
『チャキッ』
そう言ってアンドリューは、大剣の切先を俺へと向けた。
「じゃあ行かせてもらうよ」
『キュイーン』
俺は指輪に魔力を込めはじめた。
名を造形の指輪と付けたこの魔道具は、魔力を込めて頭の中で武具をイメージすると、それを形にしてくれる。
「来い氷槍」
『パキキキ』
俺は頭の中でイメージした氷でできた槍を出現させた。
「おいおいなんだよその脆そうな槍はよぉ、そんなんじゃ俺の大剣は受け止められないぜ?」
「見た目に騙されんなよ、この槍はそう簡単に折れないから」
『スッ』
そう言って俺は槍を中段で構えた。
「ほう、槍はあれだが構えだけは良いじゃねぇかよ」
「ふふ、さすがは我が子孫、ベルーナ槍術を心得ておるか」
ルースは笑みを浮かべてそう呟いた。
ベルーナ家は代々槍術を基本としている。
そのためベルーナ領主たる者、槍術を極める事も重要であり、俺は幼少期から専属の槍使いからベルーナ槍術を叩き込まれているのだ。
『ズガガガッ』
アンドリューは大剣を使い足元の氷を斬り払った。
「おいおい、自分の足とか斬ったらどうすんだよ」
「いらぬ心配よ、俺をそこら辺の騎士どもと一緒にするな、剣術だけなら俺が最強だからな」
「はいはいそうかよ、ならさっさと来いよ剣術最強さん」
そう言って俺はアンドリューの注意を俺へと向けた。
「安い挑発だが乗ってやるよベルーナの!」
『ガチャッ』
アンドリューはそう叫ぶと大剣を持ち上げた。
よしここだ!
「今だルース!」
「うむ」
『シュオオオ』
俺の掛け声に合わせて、ルースは冷気バーストをアンドリューへと放った。
『パキキキ』
「な、なんだこれ……」
『パキィン』
そうしてそのままアンドリューは、振り上げた大剣ごと凍ってしまった。
「ナイスだルース」
「そちらも良い判断だったぞ、我が子孫よ」
……子孫って、例えそうだとしても父と呼んでくれないかな、あーやり辛いなぁ。




